インタビュー

INTERVIEW(4)――〈日本の夏は元気だ〉という感じにみんなでなりたい

 

〈日本の夏は元気だ〉という感じにみんなでなりたい

 

――この次はいよいよアルバムですけども。いまの時点で言えることを、ちょっと教えてもらえれば。

「こういうアルバムにしようというコンセプトはなくて、1曲1曲を最強の楽曲にしようと思って作ってるんですよ。もちろん曲調はちゃんとバランスをとって、1枚通して聴いて飽きないようにはしたいなと思っていて。すごく熱量の高い曲ばっかりで、どれをシングルにしてもおかしくないような曲ばっかり集まってると思いますね。ストレートなロック・バンドとはちょっと違うかもしれないです。この曲もリズムが独特ですけど、そういう曲が多くなってます」

――ROCK'A'TRENCH流のミクスチャーが確立しつつあるという手応えはあります?

「すごくありますね」

――ちなみに、最近どんな音楽を聴いてるんですか?

「この歳になってハワイアンを好きになったんですよ。イズラエル・カマカヴィヴォオレという人がいて、もう亡くなってる方なんですけど、150キロぐらいの体格で歌がものすごく上手い。小錦さんがすごく歌が上手いの、知ってます? ああいう感じで、天使のような高い歌声で、ハワイの国民的英雄みたいな歌手がいるんですけど、その人のアルバムを聴いてます。あとは2005年ぐらいからの、UKのニューレイヴみたいな一連のバンドをもう一回復習して、キラーズとかカイザーチーフスとか、ああいうのを改めて聴いたりとかしてました。それから、去年からずっと好きなのがスティーヴ・アップルトンで、まだ21歳なのに何でもできちゃう子で、すごいなーって。あと、ここ数日で言うと、ジンっていう中国系アメリカ人のラッパーがいるんですけど、2002年ぐらいにラフ・ライダーズからデビューした当時にものすごい好きだったんですよ。最近またMySpaceで曲を聴いたら広東語と英語交じりのすごいカッコイイことをやっていて。昔の映像を見直してたりしてまたハマッてます」

――ハワイアンからアジアン・ヒップホップまで。相変わらず幅広いですね。

「でも最新の音じゃないですね、どれも(笑)。あ、新しいと言えば、この間ベッキーさんの番組に出た時に挨拶しに来てくれた女の子のシンガーが、すんげぇ歌がうまくて、ぜひ売れてほしいなと思います。AISHAちゃん。すごい声でした」

――山森さんが音楽を聴く時って、何か基準みたいなものはあるんですか。

「いや、単純に聴くのが好きなんですよね。たとえ音楽の仕事をしなくなったとしても、一生リスナーであり続けると思うし、曲を作り続けると思うので。常に何か聴けるように、25枚のCDチェンジャーを最近買ったんですよ。この時代にCDチェンジャーを(笑)。いいのを25枚入れて、ランダムに聴いてます。でもROCK’A’TRENCHは仕事的な耳になって〈ここはこうすれば良かった〉とか思っちゃったりするので、入れてないですけど(笑)」

――そういうリスナーとして吸収した部分が反映されているかはまだわかりませんが、次のアルバムを楽しみにしてますね。では最後に、作品の話からは逸れるんですけど、改めていま思ってることについて教えてほしいです。

「そうですね……例えば、震災後の復興の段階もいろいろあると思うんですけど、そこで音楽の出番というのはいちばん最初ではないと思うんですよ。そこでできることは何かな?とすごい考えて、でもやっぱり僕らが持ってる技能は音楽を作って歌うことだから、それをお金に替えて支援するのがいちばん正しいことだと思って、最初にやることとしてチャリティー・ソングを書いたんですよね(“優しい風”)。微力かもしれないけど、僕らはそれがいちばん上手くできるし、合ってるなと思ったので。でもまぁ、地域によって違うと思うけれども、だんだん復興してきているところもあるし、これから夏になるし、〈日本の夏は元気だ〉という感じにみんなでなりたいなと思ったので。エンターテイメントな表現をやっている一員としては、〈今年の夏は暗かったな〉って振り返ってもらいたくはないから、“光射す方へ”みたいなアッパーな曲を書いて、ライヴでドーンとやって、〈アツい夏だったな今年も〉と思ってもらえる一因になりたいです」

 

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掲載: 2011年06月15日 18:01

更新: 2011年06月15日 18:01

インタヴュー・文/宮本英夫