インタビュー

LONG REVIEW――ROCK'A'TRENCH “光射す方へ”

 

来るべきニュー・アルバムの発表を前にリリースされるROCK'A'TRENCHの3連続シングルの第3弾“光射す方へ”。〈ガラパゴスまで君の住む街から/初乗り料金でいけるらしい〉──ゆったりと力強いビートを刻んでいた前作“日々のぬくもりだけで”から打って変わり、性急なキックを合図に賑やかなリズムで始まる様子からして、その歌い出しで用いられる〈ガラパゴス〉とは〈最後の楽園〉を意味するもの……かと思い込んでしまいそうですが、ここでの〈ガラパゴス〉はダーウィンの進化論における〈外の世界と断絶された環境〉を後ろ向きな意味で用いている言葉のようだ。楽して近場にある小さな世界に安住するか、もしくは距離は測れないけれど〈光射す方〉へと勇ましく進んでいくか。そんな大きなテーマを抱えた楽曲でありながら、どこか気楽で、さらりと聴け、しかし言葉だけはしっかりと聴き手の胸に残していくという、それはもう実にROCK'A'TRENCHらしいところ。

カップリングには、“日々のぬくもりだけで”に続き、〈Early track recorded in 2006.〉と題して活動初期の音源を、今回は2曲収録。“tell me the reason”は拭いようのない悲しみをクラウディーなレゲエ・ビートに乗せたナンバーで、一方の“風が笑って”は、カントリー・ブルース調の人生讃歌。ROCK'A'TRENCH版の“Wild Horses”(ローリング・ストーンズ)といったところでしょうか。

 

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掲載: 2011年06月15日 18:01

更新: 2011年06月15日 18:01

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