インタビュー

SEKAI NO OWARI 『INORI』

 

SEKAINOOWARI_特集カバー

 

[ interview ]

深瀬慧(ヴォーカル/ギター)、中島真一(ギター)、藤崎彩織(キーボード)、LOVE(DJ)の4人から成るSEKAI NO OWARIをご存じだろうか? メンバーみずからが運営するライヴハウス〈club EARTH〉を根城に、2007年から活動を開始。2010年に入ると、2月にタワレコ限定でファースト・シングル“幻の命”を、4月にファースト・アルバム『EARTH』を、11月にダブル・リード・シングル『天使と悪魔/ファンタジー』を発表するなどして知名度を上げ、その年末には〈C.C.Lemon Hall〉でワンマン・ライヴを敢行するまでに急成長を遂げた東京発のバンドだ。そんな彼らが、メジャー・デビュー作となるトリプル・リード・シングル『INORI』について話を聞かせてくれた。

 

自分たちのスタイルを示すために

 

――ファースト・アルバム『EARTH』の取材の時以来ですので(前回のインタビューはこちら)、約1年半ぶりのインタヴューなんですが……前回の時は、最後にこうコメントされていたんですよね。「自分たちらしさを守っていくのは、武道館でライヴをやるよりも難しい」って。その武道館公演は11月に実現する予定となっていますが、いま改めて、〈自分たちらしさ〉とはなんだと思いますか?

深瀬「生意気なこと言ってますね(笑)。俺たちらしさっていうのは、チームでやることだと思ってます。誰かひとりが中心になって、その人に従って音を作るっていうのは俺たちのスタイルじゃないし、そういうのは向いてない。彩織ちゃんがディレクターをやって、LOVEがレコーディング時の音決めをして、なかじん(中島)がアレンジの責任者みたいな、それぞれに役割分担があるんですよ」

――つまり、これまで作詞・作曲のほとんどを手掛けてきた深瀬さんの描きたいものを、全員で再現していくということですか?

深瀬「う~ん、もちろんそれもあるんですが……」

中島「うちは歌詞とヴォーカルの声がひとつの大きなウリなので、当然そういう部分はありますが、深瀬の描きたいものを〈再現〉するんじゃなくて、みんなで考えて組み立ててきたっていうか」

――4人の個性を重ね合わせることによってSEKAI NO OWARIのサウンドは出来上がっている、ということですよね。そのチーム制での作業の始まりとなる作詞・作曲の担当が、今回のシングル『INORI』では1曲ごとに深瀬さん、彩織さん、中島さん、というクレジットになってますが……それは、本作が〈トリプル・リード・シングル〉と銘打たれている点と関わりがありそうですね?

深瀬「そうですね。インタヴューなどを受けて感じるのは、すべて俺がやっているように勘違いされているなっていうこと。それが事実ならいいけど、事実じゃない。例えば、“幻の命”を作ったのは彩織ちゃんなのに、俺が作ったと思われてる。だから、誤解を解きたかったんです。そのためにも、トリプル・リード・シングルという形で、それぞれの作った曲を前に立たせました」

――既発曲のなかでは、いまお話にも出ましたが、彩織さんのクレジット曲は“幻の命”、そして中島さんは共作曲が何曲か。バンドの外側からは見えなかったものの、これらの曲以外にも、お2人とも楽曲を作ってこられていたんでしょうか?

彩織「はい。メンバーには聴かせてました」

深瀬「〈トリプル・リード・シングルで行こうぜ〉って決まってから曲を書きはじめたわけじゃなく、3曲とも前からあったもの。今回のメジャー・デビューというタイミングで、SEKAI NO OWARIのイメージがある程度固まってしまうと思っているんです。最初の印象って大事だから。そういう時に、リスナーに対しても、メディアの人に対してもそうだし、俺らを取り巻くスタッフに対しても、〈こういうバンドです〉って提示したかったというか」

――この3曲を最初に聴いた時は、あえてクレジットを見ないようにしたんです。でも、誰が作ったのかはっきりとわかる仕上がりでした。

深瀬「それは嬉しいですね。僕となかじんはゆずが好きだったんですけど、北川君と岩ちゃんのどっちが作ったかわかるんですよ。で、〈この曲は悠仁っぽいよね~〉とか話していたので、そういう楽しみ方があってもいいと思うし、そう言ってもらえるのは嬉しいです」

――では、具体的にそれぞれの曲について訊かせていただきたいのですが、まず “花鳥風月”から。これは作曲が深瀬さんで、作詞が彩織さん。

深瀬「俺らしい曲ですね。アレンジを足したから原型が見えなくなっていますが、凄くシンプル。コード進行もひねりなし。例えば、ギターを弾いている時に小指の位置がどうとか、そういう微々たることは気にしない性格なんで。とにかく大雑把。しかも頭が悪いので、メロディーを長く覚えられない。そんな俺の頭のなかに残っているメロディーなんだから、他の人にも残るんじゃないかな?っていうのは思ってます」

――〈シンプル〉ということで言えば、メロディーは学童唱歌のような雰囲気もありますね。

深瀬「音楽の授業で歌った曲っていまでも覚えているし、好きだし、あれって子供でも覚えられるように、基本的に小細工がないですよね? そういう意味では、確かにシンプルで覚えやすくっていうのは意識しましたね」

 

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掲載: 2011年08月17日 18:01

インタヴュー/土田真弓 構成・文/山西絵美