インタビュー

LONG REVIEW――SEKAI NO OWARI 『INORI』

 

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SEKAI NO OWARIが非常に強固な意志を持った表現者であることは、これまでの活動や歌詞の世界観から十分に伝わってきた。また、キャッチーなポップソングを書くセンスも持っているので、〈ちょっと早くない?〉とは思いつつも、この秋に武道館公演を実現させるだけの求心力のあるバンドだということも理解できる。ただ、ドラム&ベースレスという編成に伴うものか、打ち込みのビートだけがやや単調に聴こえることも……というのが、これまでの僕の、彼らに対する印象だった。

なので、メジャー・デビュー作となるこの『INORI』も、まずはビートに注目をして聴いたのだが、今回はどの曲も生ドラムを再現するタイプの打ち込みが採り入れられたバンド・サウンドで、特に違和感を覚えることなく、3曲共に楽しむことができた。この方向性もアリだし、〈これだったら生ドラムもいいんじゃない?〉と思ったりもするので、打ち込みのビートを楽曲のなかでどう活かしていくかは、今後もバンドにとっての課題になるのではないかと思う。

曲単位で見ていくと、the band apartをフェイヴァリットに挙げる中島らしい、ソウル・フィーリングを感じさせる曲調と、ロボットを題材にしたファンタスティックな内容だが、同時に強いメッセージ性も込められた深瀬の歌詞という組み合わせの“不死鳥”の出来がいい。とは言え、このバンドの最大の魅力――どこか得体の知れないスケールの大きさが提示されている楽曲は、やはり荘厳なストリングスに包まれた“Never Ending World”だろう。

 

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掲載: 2011年08月17日 18:01

文/金子厚武