INTERVIEW(2)——思い出もいっしょに再生できるような曲
思い出もいっしょに再生できるような曲
――そこにアレンジが加わるわけですが、ピアノのリフと、アブストラクトな……揺れるようギターが入ってくるイントロが印象的ですね。時間が巻き戻る感覚というか、ここから異世界に入っていくんだな、というイメージが湧きました。
深瀬「あのイントロとアウトロはみんなで凄く悩みました」
中島「イントロを決めるだけで丸3日かかりましたからね」
彩織「時間が経っても、イントロだけで〈懐かしいな〉って聴いていた頃を思い出せるようなものにしたいという話はしていて」
深瀬「そうそう、聴いた人の思い出も再生できるようなイントロね。“花鳥風月”は〈過去〉の曲にしたいと思っていたんです。ほら、映画でも過去を思い出すシーンが本編の導入になるパターンがよくあるでしょ!? イントロもああいう感じにしたかった。で、思い出特有の儚さや切なさを表現できたらなって」
――歌詞を担当した彩織さんは、そういうイメージを深瀬さんからあらかじめ伝えられていたんですか?
彩織「そもそも、この柔らかいメロディーが好きだったんですよ。かなり雰囲気があって。深瀬の歌詞って特徴があるじゃないですか? 文章だけで成立しているというか。で、〈雰囲気モノだったら彩織ちゃんのほうが合うかもしれないから、メロディーも好きみたいだし、歌詞を書いてみたら?〉って言われて」
――これが初めての作詞ですよね。実際に書いてみていかがでした?
彩織「自分が歌うわけじゃないので、何でもかんでも自分の言葉でOKとはいかないじゃないですか? SEKAI NO OWARIとしての楽曲で、深瀬がヴォーカルを取るっていう制約がある。でも、そのなかで自分がいま言いたいこと、悩んでいることを書けたと思ってます。具体的な詞の内容については、誰にでも伝わるものにしようと思っていたので……あまり歌詞の背景を説明しちゃうと意味がなくなりそうだし、言わないようにしてます」
深瀬「しかも、この話、長いうえにおもしろくないんですよ(笑)」
彩織「そんなに長くないし、そこまでおもしろくなくもないよ(笑)。けど、説明する必要がないかな、って」
ソウルっぽいカッティングを採り入れたかった
――〈そんなに長くなくて、そこまでおもしろくなくもない〉とか言われてしまうと逆に興味が湧きますが(笑)、ここは彩織さんの意志を尊重して次の曲に話を進めましょうか。2曲目の“不死鳥”は跳ねたビート感が特徴的ですね。
深瀬「なかじんの曲は、上がってきたなかでも跳ねた曲がリリースされがちだよね!? 彩織ちゃんも、俺も、あんまりアップテンポな曲を作らないから」
中島「他のメンバーにはない要素を担ってしまっているんでしょうね。だから、リリースするとしたらその部分みたいな」
――前に取材した時は、普段聴かれる音楽のほとんどが邦楽とのことでしたけども、この曲はどこかソウルっぽい雰囲気があるなあと思って。
中島「お、LOVEが頷いてる」
LOVE「そういうのを狙って、機材も選んだから。ファンクとかソウルのカッティングを採り入れたかったんですよ」
――〈この曲のカッティングならこの楽器でいこう!〉という部分はLOVEさんが決めているんですか?
LOVE「そうですね。なかじんの狙っている音はこんな感じだから、この機材を使おうとか」
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