lynch. “MIRRORS”
[ interview ]
今年6月にアルバム『I BELIEVE IN ME』でメジャー・デビューを果たし、アグレッシヴかつエモーショナルな美学を強く打ち出した5人組ロック・バンド、lynch.。キャリア最大動員数となったアルバムのツアーから間もなく、メジャー初のシングル“MIRRORS”がリリースされる。「リズムから作られた」という3曲は、疾走感をさらに増した彼らの新境地を示すもの。喉を震わせる葉月(ヴォーカル)の叫びにも、大きな迫力が宿っている。新曲でめざしたものを、5人に語ってもらった。
流れが変わりつつある
――まずは先日終わったばかりのツアーに関して話を訊かせていただければと思うんですが。振り返ってどういう印象がありますか?
玲央(ギター)「ツアーの本数に対して、期間が長かったんですよ。あいだにまとまった休みがあって、その合間にレコーディングや別の作業が入ってきた。そのこともあったので、良い意味でも悪い意味でも、追い込まれている感じはなかったんです。良い面としては、その都度修正ができた。ただ、悪い面だと、ツアーを3回やってるような感じがあって。これからは、一旦中断した後も前回のライヴの続きをちゃんと始められるような感覚が必要になるかな、っていう反省点もありましたね。これまでコンスタントにライヴをやってきたバンドが、環境が変わったことでライヴの本数を減らしたり地域を絞ったりすることにはすごく抵抗がありましたし、バンドがこの先も変わらないことを、実際に行動で見せたかった。だから正直、〈そんなところにも行くんだ?〉って周りから言われたりしましたけど。でも、そこに観たいと言う人がいるんであれば、僕らは行きたい。そういう意志で細かく回れたのは、自分たちとしても収穫だと思います」
晁直(ドラムス)「ライヴに関して言うと、曲の進行は僕が担うところが多いんで、初日は一杯一杯だったんですね。それが、ツアーをやっていくなかでこなれたというか、成長したと思うところは多いです。たとえ同じセットリストでも、そのライヴごとに違ってくる部分もあるし。やるたびに形になっていった感じがありました」
明徳(ベース)「僕としては、前回の全国ツアーがサポートだったというのもあるんですけど、以前は決め込んでる感じがあったんです。僕のなかでも、lynch.のライヴは計算された見せ方がある印象があったんですけど。でも今回のツアーは、いい感じのラフさがあったと思いますね。もちろんライヴの緊張感はあるんだけど、ロックらしい粗さがある。そういうライヴができた印象があります」
悠介(ギター)「ツアー全体を通して、お客さんの空気感とかノリが、変わりつつあるという印象がありましたね。自由にやろうという意志を見せようとしているというか。男の子が増えたり、外国人の方が増えたり、客層が広がったところもあって。そういう意味で、流れが変わりつつあるのを感じましたね。あとは、アルバムの楽曲がいままでとはちょっと違う、新しい方向に向かっている作品なんで。ヴィジュアル系以外のアーティストといっしょにやる機会も増えたし、そういう意味でも、いい流れを肌で感じることができたツアーでしたね。特に、後半になっていくにつれて当日券が増えたというのは、リピーターが増えたということだと思うし。ライヴ・バンドとしてステップアップしてきた気はしますね」
- 次の記事: INTERVIEW(2)――まずリズムありき