INTERVIEW(3)――聴いた人がもっといい世界を作ってくれる
聴いた人がもっといい世界を作ってくれる
──それでは今回、同時リリースされる2作品についてですが、まずSerphの『Winter Alchemy』は、初めてのコンセプト・アルバムですね。
「これまでのSerphの音楽自体が冬っぽいというか、祝祭感みたいなものが感じられたので、今回はお祭りの時期の、クリスマスっていう日のサウンドトラックを作ったらおもしろいんじゃないか、って思ったんですね」
──Serphのなかにあるいろんな要素のうち、ある一つの世界観を強く打ち出したアルバム、という印象がありますけど。
「これまでのSerphのアルバムの要素を失わないで、なおかつ新しさも感じさせたうえで、自分が冬に聴きたいアルバムを作った、って感じですね」
──Serphの音楽はもとよりファンタスティックですけど、今回はそれが特化していますよね。そういうファンタジーとかドリーミーな部分が強く出てくるのは、自身の願望の表れということなんでしょうか。
「そうですねえ……実際テーマパークに行くと、混んでいて、並んだりして、けっこうつまんなかったね、疲れたねって言って帰ってくることもあるじゃないですか。それよりも、行く前にそのテーマパークのチラシを見て、想像している時の自由なイメージの世界、そういうのがたぶん好きなんでしょうね。それがクリスマスのイメージと繋がったんですよね」
──現実よりも、空想や妄想のワクワク感を音楽にしたい?
「そういうわけじゃないですけど、現実世界のいろんな悪い状況に目を向けて音楽を作るよりは、より楽しい、おもしろい世界というのを想像して、それを形にすることで、聴いた人がもっといい世界を作ってくれるんじゃないかと思っています」
──あと以前のジャズっぽいビートは、今回はほとんどなくなっていますね。
「最近、海外のオルタナ系がおもしろいと感じていて。ロックとかオルタナ系にシンパシーが芽生えはじめているのかもしれないです」