インタビュー

INTERVIEW(3)――理想に近付くべく



理想に近付くべく



――思いつくままに言うと、たとえば“極東ID”にはブラス・セクションがガッツリ入っていて、間奏でいちばん目立つソロがトランペットですからね。ギターじゃなくて。


光村「最高ですよ、あのエロいソロは(笑)。歌詞のなかで〈僕はロックンローラー〉って言ってるんですけど、俺のなかのロックンローラー像は映画〈ブルース・ブラザーズ〉のキャブ・キャロウェイなんですよ。僕は、ダンス・ミュージックの原型はビッグバンド・ジャズのパーティー感だと思っていて、そのなかで一人マイクを持ってタキシードで出てくるキャブ・キャロウェイは、僕のなかで勝手にロックスターの理想像なんですよね。だからこの曲は、ぜひそのイメージをやらせてほしいとみんなを説得して、ブラスの人と話をして、〈ブライアン・セッツァー・オーケストラではないんです。キャブ・キャロウェイなんです〉って、その感じをできる限り追求して」


――たとえば同じブラスでも、“手をたたけ”とは全然イメージが違いますよね。


光村「あっちはもうちょっと青春感のある、ブラスバンド感を出したかったので。あれをやったことで、俺がブラスの使い方に味をしめちゃったというのはありますね。これはおもしろい、使わない手はないと」


――ほかにも“恋をしよう”とか。こういうジャジーでメロウなAOR感も、いままでになかった味付けだと思うし。


古村「俺自身は通ってこなかったオシャレな感じなので、難しかったんですけど。だからこそ、〈完璧にオシャレなことができない人がやってる〉ところがいいんじゃないかと(笑)」


光村「この曲は、サビの頭に〈別に誰かの真似をしていいじゃないか〉という歌詞があったからこそ、徹底的に物真似してもらいました」


対馬「詞に救われたという(笑)」


光村「僕のなかでは、フルくんにデヴィッド・T・ウォーカーのフレーズをやってほしかったんですよね。僕自身も、ちょうどこの1~2年ぐらい山下達郎ブームがきてて、〈ナイアガラ感〉というか、シティー・ポップのオシャレ感がツボだったんで。去年初めて山下達郎さんのライヴを拝見して、達郎さんがずっとテレキャスでカッティングしてる感じがすごいカッコ良くて、だから僕は達郎さんになりきってカッティングを終始やってました。それがなかなか難しくて、なりきりっぷりに満足がいくまでに相当時間をかけましたね(笑)。理想は自分のなかにあるけど、それは一朝一夕でできるもんじゃないな、というところを見せてしまうのもある種リアルだなと思ったので、始めたばかりの初々しさみたいなものをあえてそのまま出すということで」



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掲載: 2011年12月07日 18:01

更新: 2011年12月07日 18:01

インタヴュー・文/宮本英夫