インタビュー

bonobos 『ULTRA』





間違いなくこれまでのbonobosのイメージを大きく一新してくれる作品の誕生と言っていいだろう。ニュー・アルバム『ULTRA』は、ダブだのレゲエだのといった、いままで彼らのバックボーンとされてきた音楽的要素を柱とするような作品ではない。純度の高いシティー・ポップと言っても過言ではない、メリハリのある大らかで包容力に富んだ楽曲が堂々と並ぶ様子は、このバンドが約10年という歴史を刻むなかで取捨選択してきた結果が、こうした正攻法のスタイルなのだと胸を張って宣言しているかのようだ。

昨年の一連のソロ・ワークスを経て次なる一手を探していた彼らは、今年3月の震災~原発事故に端を発し、人としての強さを音で希求していくことに自覚するようになったという。そして、管弦楽器をふんだんに採り入れたチェンバー・ポップ然としたアレンジを施すことで、サウンド面をより重層的に展開。言葉の意味さえ変化してしまったいまの日本で、それでも音楽を作り続けていくことの醍醐味を、彼らはカラフルでスケールの大きな作品に込めることとなった。昨年暮れにパーカッションの松井泉が脱退し、現在のメンバーは蔡忠浩、辻凡人、森本夏子の3人となったbonobos。ポップ・ミュージックの作り手としてフレキシブルかつカジュアルになった彼らが、11年目にめざす場所はどこなのか? リーダーの蔡忠浩にコンポーザーとしての新境地を訊ねてみた。



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掲載: 2011年12月07日 18:00

更新: 2011年12月07日 18:00

インタヴュー・文/岡村詩野