インタビュー

INTERVIEW(2)――メメント・モリ精神



the Arc



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沙我

――(笑)では次の“the Arc”ですが、歌詞はジャンヌ・ダルクがテーマということで。

「はい」

――曲は直球のヘヴィー・メタルと言いますか、〈らしい〉要素がわかりやすく、ふんだんに盛り込まれているといいますか。

沙我「そうですね(笑)。ヘヴィー・メタルが本職ではない僕が〈ヘヴィー・メタルってどんなのかな?〉って作って」

――リスナーとしても聴かない?

沙我「いや、聴くには聴くんですけど……ああ、最近は聴いてないか。でもなぜか作ってしまった(笑)。ヘヴィー・メタルの曲って、作ったことがなかったんですよね」

――そう言われると、そうですね。

沙我「それでこの曲のメロディーや雰囲気みたいなものは、ホントにそれこそ中世のヨーロッパだったり、さっき話に出てた聖書のような世界観をモロに意識してて」

――テクニカルですし、プレイヤー陣は大変なんじゃないですか?

ヒロト「ギターで言うと、そこまで大変だなってところはなくて。そういうプレイをする場面が、近年はチラホラあったんで」

沙我「いちばんメタル要素のない人間ですよ、彼は」

――そうなんですね。

ヒロト「唯一、通ってたとしたらX JAPANぐらいしかなかった人間なんで、(リフの)刻みなんてどうなんですかね(笑)?」

沙我「絶対似合わないですから、刻んでるの(笑)」

ヒロト「このバンドはいろんなことができて、プレイヤー的にはすごく楽しいですからね。このバンドをやってるおかげで通ってきた音楽もあるんで。〈この曲にはこういうプレイが求められてるんだ〉ってとこから入ったジャンルとか」

――ヒロトさんが通ってこられた音楽はどういうものなんですか?

ヒロト「基本的に、アメリカンなものはほぼ通ってないと言っていいですね。ハード・ロックとかも聴くようになったのは、ここ最近で。もともとはブリティッシュな感じというか、あんまり歪んでない、空気を含んでいるようなギター・サウンドが好きで、このバンドでもわりとウワモノ的な音を出してますね」

――そういう方が重たいリフをガシガシ刻んでいるというのもおもしろいですけど、歌詞のお話に戻ると、ジャンヌ・ダルク……確かに中世ヨーロッパのような世界観が広がってますね。

「はい。作曲者の意図をリスナーの方々へ橋渡しするために、どういうふうにパッケージしたら曲のイメージが明確になりやすいかってことをいつも考えるんですけど、僕が何の先入観もなしにこの曲を聴いたときの印象が〈魔女裁判〉だったんで、そこをスタートにして、信仰心の強さによって起きるマジックを描いてます。あと幼少の頃にリュック・ベッソンの『ジャンヌ・ダルク』を父と観に行った思い出があって、そういうところが繋がって、こういう歌詞になりました」

――ジャンヌ・ダルク自身を百合に例えていたりと、当時の背景も。

「そうですね。当時のフランス国旗が百合で、イギリス国旗が薔薇だったりするので、そういう比喩はありますね」




GALLOWS



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Nao

――そして、3曲目は“GALLOWS”で、ここにいらっしゃらない虎さんの楽曲。これは〈絞首台〉というタイトルもありますが、宗教画が浮かんでくるような詞世界で。

「曲から、すごく強い意志で突き進むような印象を受けたんですよね。それで自分が何を言いたいかって考えたときに、前作のアルバムからメメント・モリ精神というか、終わりや死を意識することによって現状をより強く生きていくっていう、そういうメッセージを込めたいなと思って。絞首台での、死の瞬間までの1秒1秒のなかで生を渇望するような、そういう歌詞になりました」

――テーマはシリアスですが、楽曲はとてもメロディアスで。

「そうなんです。メロディーがすごくキャッチーだから言えるというか、マニアックになりすぎない。そういう意味でメロディーにすごく助けられた曲でしたね」

――なんとなく思うんですけど、虎さんの曲ってリズムがちょっと不思議ですよね。

沙我「曲調はポップなんですけどクセがすごくありますね。7年間いっしょにやってて、虎節っていうのはすごく感じます。演奏してると深い部分で、ホントに細かいことなんですけど、ここでドラムがシンコペーション――〈くう〉って言うんですけど(リズムを半拍前にずらす)、自分なら絶対やらないようなことを意外と細かくやったりしてて、変わった人間だなと思いますね(笑)。〈ここを選ぶんだ?〉って、そういう音の会話みたいなのはありますね」

――ギターはいかがですか?

ヒロト「同じギタリストとして、虎節はある程度、身体に入ってないとすぐにはできないな、って。曲の構成とかはシンプルでキャッチーなものを書いてくるんですけど、沙我くんも言ってたように、パッと聴いた感じではわからないような部分にすごくこだわってて。同じリフレインがあるようでないというか」

――それはデモの段階でアレンジができているということですね?

ヒロト「そうですね。最初から作ってきますね。〈ここはどうなってんだ?〉っていうところ、結構ありました。ピッキングの裏表の法則すら、決まってないと弾けないんだこれ、みたいなのがあったりして、ストレートなようで天邪鬼な人間性が出てると思いますね(笑)。芯の部分とかは優しかったりするんですけど」


カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2012年02月22日 18:05

更新: 2012年02月22日 18:05

インタヴュー・文/土田真弓