インタビュー

INTERVIEW(3)――自分たちのスタンダードを貫く

掲載: 2012年04月04日 18:00

更新: 2012年04月04日 18:00



自分たちのスタンダードを貫く



[Champagne]_A

——話を戻しますが、今回のアルバムで苦労した部分を具体的な曲を例に出しつつ話してもらえますか?

磯部「アンサンブルで結構苦労したのは“Waitress, Waitress!”のジャズ風の部分ですね。ジャズはちゃんと聴いたことがなくて、ベースはとりあえず〈歩いてる〉感じをイメージしていたんですけど、ジャズをいくつか聴いてみてもこんなにテンポ速くないんですよね(笑)。だからジャズっぽいフレーズを弾いても全然ジャズっぽくならないのを、どうそれっぽく聴かせるかが大変でしたね」

川上「1曲目の“The”はいちばん最後に出来た曲で、ホントは“El Camino”から始まる予定だったんですけど、ミドルテンポで始まるのがなんか違う気がして、レコーディング直前にまず後半部分を作ったんです」

磯部「あれは普通に難しい(笑)」

川上「俺は弾かないんで(笑)。最初のブライアン・イーノみたいな部分は、臼井(眞輝、ギター)がレコーディング前日に買ってきたエフェクターで遊んでいる時に〈コレだ!〉って」

——“The”はアルバムのイントロとしてすごく効果的だと思います。

川上「最後の最後まで諦めないことが大事ですね(笑)」

磯部「全体的に、今回アレンジは〈諦めない感〉あったよね。ホントにギリギリまで」

川上「スタジオの営業時間を2〜3時間くらい延ばしてもらって、〈(スタジオが入っている)ビル的にもう音出せないです〉って言われたりとか(笑)。でも今回はめちゃくちゃ楽しかったですね。サードのために作ったっていうよりも、とりあえず曲が出てくるから作っちゃおうって作った20〜30曲があって、そこから13曲選んだって雰囲気もあるんです。ホント曲の出来るのが日課みたいになってて」

——途中でも言ってたように、フルタイムのミュージシャンになったことがちゃんとプラスに作用したってことですよね。だから、今回の歌詞にも葛藤は感じられるんだけど、それが〈何でなかなか日の目を見ないんだ?〉っていう葛藤じゃなくて、〈さらに先へ進むためにどうするか〉っていう葛藤に変わってて。

川上「そうですね。〈うちらがめざすべきはここなんだ〉ってはっきりわかるようになって、意思統一もできてきましたね」

磯部「もっと上に行きたいっていうのは昔から思ってたんですけど、昔は漠然とカッコイイものをめざしてたのが、実際それを実現できる環境も整ってきて、より具体的に見えてきたんですよね。だから何になりたいかっていう〈What〉じゃなくて、〈How〉の部分が明確になってきたんです」

川上「ファーストとかセカンドの頃は、好きなバンドとか憧れのバンドを何となく意識してるところがあったんですけど、去年ぐらいから自分たちのなかの正解っていうのが出来てきて、今回は理想とする対象が〈誰か〉から自分たちの理想に変わったっていうのが大きいですね」

——[Champagne]の音楽って、よく〈王道〉と形容されることが多いと思うんですね。実際僕もその要素はあると思うんですけど、ご自身としては〈王道〉をどの程度意識していますか?

川上「そんなに意識はしてないんですけど、〈変わったことやろうぜ〉とか〈サブカルになろうぜ〉とかは大っ嫌いなんですよね。そのひねくれ感がカッコイイっていう風潮が嫌で、一昔前のバンドがTVに出るのを嫌がったりしたのもすごく嫌だったんです。俺なんて〈紅白〉出たいですからね。音楽業界、特にロック・シーンってだから狭くなってる気がするんですよ。〈売れたい〉っていうのが、汚いというか、ピュアじゃないって捉えられるような感じがあるけど、もっと言っていいと思う。そういう意味では王道かもしれないですね」

磯部「自分たちのスタンダードを貫くっていう意味で、自分たちに対して王道でいたいっていうのはあります。世界に行くうえでも、物珍しい要素で売れるっていうのはあるし、それを批判はしないけど、それより自分たちの王道で認められたほうが気持ちいいじゃないですか? 洋平のメロディーにはその力があると思うので、そこで勝負できたらいいですね。〈グラストンベリー〉のヘッドライナーをやるまで、そこは絶対諦めたくないです」


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インタヴュー・文/金子厚武