INTERVIEW(4)——自分の好みを確認できたシングル
自分の好みを確認できたシングル
――こうして収録曲を1曲づつ見ていっても、やっぱり〈歌謡曲〉って言葉が浮かび上がってきますね。なぜMEGさんはいま歌謡曲に惹かれるんでしょう。
「なんでしょうね? やっぱりフランスに行くようになったことが関係していると思うんですけど」
――海外に出ることで、日本の歌謡曲を発見するってのがおもしろいですよね。
「もちろんフランスも良いですし、特にインテリアとか、デザインの面で刺激になることは多いです。でも帰ってくる度に〈やっぱ日本、いいなあ〉って改めて発見するポイントも多くて」
――海外の音楽から影響を受けるモードではない?
「もともとたくさん音楽を聴くタイプじゃないし、最近買ったCDは……山本リンダ『ゴールデン☆ベスト』……と……それくらいかなぁ(笑)」
――では逆に、日本のポップスの状況ってMEGさんにはどう見えますか?
「あと15年くらい若かったらアイドルめざして早くも挫折とか? してたかも! 嘘です(笑)。なんでしょう……昔に比べて気になる音楽が減ってきた気はするんですけど、それがなぜなのかはわからないんですよね。それから、TVに出ていれば人気があるって認識される構図は昔からあまり好きじゃないです。〈本当にそうなの?〉って変な気持ちになる……。そういう思いは強くなってますね。ものを作る面ではTVに出ない人がやりにくくなってる気もするし」
――海外にしても国内にしても、現行の音楽はあまり関係ない?
「そのときの流行りだからとかはあまり気にしないですね。自分が新鮮に感じて、その時ベストだと思うものを作らないと、長い目で見た時に満足できないと思うんですよ。〈こういうの流行ってるからやってみたら?〉って言われて、自分ではあんまりおもしろいと思ってないものを作って、それがアーカイヴに残っちゃうのが嫌なんです。そういうものでも、インタヴューとかでは〈良いです! 最高です!〉って言わなきゃいけないじゃないですか。そうやって自分に嘘をつくのは違うなって。それは音楽に限らず、洋服を作る時もいっしょなんですけど」
――ただ、今回の作品は歌謡曲のレプリカではまったくないわけで、いまの空気を吸った音楽だと思うんですよ。しっかりアップデートされてるというか。
「そうですね。歌謡曲に向かいつつ、やっぱり作っていくと、ダンス・ミュージックは好きなんだなって思いましたし」
――その〈踊れる〉ってところも重要ですよね。
「そうですね、このシングルを作って自分の好みがわかったところはあります。違うことをやりつつ、ブレない部分もあるなって」
――いまって超アッパーでトランシーなダンス・ポップが流行っていて、一方で〈泣きうた〉みたいなバラードもすごく人気がある。両極に分かれてる感じがするんですけど、MEGさんのシングルは、そのどっちでもないポップスのあり方を提示してるなあと。
「だから全然流行らない可能性がありますよ(笑)」
――いやいや、そこが素晴らしいなと思いますよ!
「トレンドとかを意識したものではないですけど、自分が新鮮だと思うものを作って、良いと思えるものが出来たから聴いてほしい!って正直に言いたいんです」
――この次にも期待しちゃいますけど。
「どうするんですかね~(笑)。いまの制作チームはすごくパワフルで若いスタッフが多くて、刺激的なものをフットワーク軽く作品に落とし込みやすい環境にあるので、それだけでも楽しみです。秋にかけては、新曲を作っていきたいなと思ってます」