インタビュー

MEG “TRAP”



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[ interview ]

今年に入って国内での音楽活動を再開したMEGがニュー・シングル“TRAP”を発表した。先にリリースされた『LA JAPONAISE』はフランスでの活動期間における楽曲を中心にしたアルバムだったわけで、今回のシングルこそ、日本での再スタート地点として捉えるべき作品だろう。岡村靖幸、大沢伸一、NARASAKI、小西康陽といった面々が参加した本作には、旧来のスタイルを打ち破り、新たな領域に踏み込んだMEGの姿が確実に見て取れる。

このフレッシュな新曲群について、そして日本での活動休止から再始動に至った経緯について、たっぷりと話を訊いた。



わからないものがおもしろい



――MEGさんは2010年に日本での活動を休止して、今年に入って活動を再開されました。その経緯からお訊きしたいと思います。

「2010年に出した『MAVERICK』ってアルバムあたりから、音楽的にそれまでのエレクトロ・ポップ路線からポップスに寄りはじめていて。ダンス・ミュージックに歌詞を乗せる時は、ノリだったり言葉の持つリズムを重視して歌詞を乗せてたんですけど、ポップスの場合は乗せた言葉自体が際立ってくるから、そのぶん作詞に時間をかけないとダメだし、そのためにはもっとインプットを増やさないとアウトプットできないなと。それで『MAVERICK』の制作中には、〈これを出してその後にベスト盤『BEST FLIGHT』を出したら少し休もう〉と決めてたんです」

――休止後はフランスで活動されることになりますね。

「2008年に〈Japan Expo〉(フランスで開催されている日本文化の祭典)に出たんですけど、その時にジャパン・カルチャーの勢いを感じたし、すごくおもしろくて、さらに盛り上がっていくんだろうなって思ってずっと気になってたし、引っかかっていて」

――休止前に出されたベスト『BEST FLIGHT』に入っている新曲のタイトルが“Passport”と“Paris”でしたね。

「もう気持ちがフランスに行ってたところはありますね。『BEST FLIGHT』で“Passport”と“Paris”とコンセプトが繋がったものを出してひと区切りつけたかったんです」

――フランスでは日本のアニソンのカヴァーを発表されてますが、これは向こうでのジャパニーズ・アニメの人気を受けてのアイデアですか?

「そうですね。そういったイヴェントでライヴをするなかで、やっぱりみんなが知ってる曲を歌いたいなあと。それでフランスでも日本でもポピュラーな曲としてのアニメの曲だったんです」

――フランスでの日本文化の人気を引っ張っているのはやはり〈Japan Expo〉なんですか?

MEG「〈Japan Expo〉はすごく大きくて、日本からもゲストが多く来ていたり、いろんな企業が関わってて、ライトに足を運びやすいいちばん大きなイヴェントではあるんですが、実は他にもっと小さいイヴェントもたくさんあって。小さい会場では個人レヴェルでのブースが多いほどコアな人たちが集まっているし、いまフランスの人たちが本当に興味を持っているものをリアルタイムで知ることができるので、どちらもおもしろいと思います」

――そういうMEGさんの活動は伝わってこないし、アニソンの曲を配信してるという情報はありましたけど、日本では買えないという……(笑)。

「そうですね(笑)。プロデューサーも伏せたままリリースしてたし、あんまり日本でどうとか考えてなかったかも。自分の興味があることを興味がある場所で、自由研究みたいにやってた感じで。でも、フランスでの6か月連続リリースが終わった頃に、いまの日本のレーベルから〈アルバムにまとめて出しませんか?〉という打診をいただいて。このお話がなかったら本当に自由研究みたいな感じで終わってたかもしれないですね(笑)」

――そして日本での活動再開の第1弾として、フランスでの配信楽曲を中心にしたアルバム『LA JAPONAISE』が4月にリリースされました。アニソン中心ってことにしても、具体的なサウンド面にしてもすごく自由な作品だなと。休止以前の文脈を断ち切っちゃうというか。

「まとめることを想定してなかったので、バラバラになったところはあるんじゃないですかね(笑)。このアルバムは、自分自身とはちょっと切り離して、別のキャラクターとして遊べた感じで、そういうことが楽しめました」

――このアルバムを経てMEGさんがどこへ向かうのかが見えないですよね(笑)。

「そこが良いなあと思って(笑)。予測できるものっておもしろさが半分くらい消えちゃう気がするし、やっぱりわからないものが好きだったりするので」

――『LA JAPONAISE』はフランスでの活動の総決算みたいな意味合いですか。

「はい、まとめられましたね。レーベルに声をかけていただいた時も、〈アルバムを出した後はどうする?〉って話がすぐに出てきて、それが嬉しかったんですよね。いっしょにおもしろいことができそうだなと」


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掲載: 2012年06月13日 18:01

更新: 2012年06月13日 18:01

インタヴュー・文/澤田大輔