BUCK-TICK “MISS TAKE ~僕はミス・テイク~”『PARADE II~RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK~』
[ interview ]
BUCK-TICKが歩んできた足跡は、多彩な音楽的要素を自在に融合させながら、常に最新型を提示してきた作品群にあきらかだが、何より凄まじいのは、いかなる変容を経ようとも、そのいずれもが彼らの揺るぎないスタイルであると認識させてしまう求心力だ。旺盛な実験精神がキャッチーな音像に結び付くバランス感覚は、やはり唯一無二である。だからこそ、彼らに影響を受けたアーティストも幅広い。メジャー・デビューから25周年を迎え、新レーベル・Lingua Soundaの立ち上げをはじめ、従来にも増した精力的な活動を見せているいまだからこそ、改めてその魅力には目を向けてみる必要があるだろう。BUCK-TICKを知らずして、日本のロックは語れない。
自分の居場所はここしかない
櫻井敦司
――BUCK-TICKを結成したとき、将来はどんなバンドになりたいと思ってました?
今井寿(ギター)「たぶん、いまのこんな感じを想像してたと思うんですけどね。髪の毛とかメイクとかも奇抜な感じで。キャッチーで、どこかひねくれてるというか(笑)」
櫻井敦司(ヴォーカル)「僕もそうだったんですが、最初はホントに単純で。歌番組みたいなのを観てて音楽が好きになっていくんですけど、男の子たちが〈僕もバンドやりたいな〉みたいに思ってくれる、そういう存在になれればいいなって感じでしたね。当時、僕も地元にBOOWYというバンドがいたんですよね。少し先輩ですけど歳も近くて、すごく衝撃を受けて」
――ただ、その当時はロック・バンドが20年も30年も続いているケースはほぼなかったですよね。そう考えたとき、ご自身の将来については、何年ぐらい先まで見えていたのかなと思うんですよ。
今井「ホントの最初に始めた当時は、このバンドも数年後にはフワッとなくなって、何か違うのをやるのかなぐらいのことを何となく思ってましたけど、オリジナル曲を作り出してからは、まったくそんなことも思わなくなってましたね。普通にずっと続くもんだって感じで」
――しかし、結成以来、メンバー・チェンジが一度もなかったのも珍しいケースですよね。実際にライヴを観ていると、この5人はものすごく仲が良いんだろうなと思えてくる。皆さんの間では特に意識することはないのかもしれませんが、何か秘訣もあるんでしょうか?
今井「音楽的なことで言ったら、やっぱりこの5人でBUCK-TICKなんで、その音楽にズレが出てきたら仲が悪くなったりするのかなって思うけど、そういった音楽性のところで、100%じゃないにしても、お互いに一致している部分があるかなって気はしますね」
櫻井「そうですね。好きなことを歌えなかったり、今井さんの作ってくれた曲が、これは何か違うなと思いはじめたら、やっぱり、それは正直に言いますよね。他の3人がいくらなだめても、ダメなものはダメってなっていくだろうし(笑)。ですけど、ある部分、尊敬してるんですね。他のメンバーも僕にはないものを持ってますから。やっぱり自分の居場所というのがちゃんとあるというのは……まぁ、ここしかないというのもありますけど(笑)、いいものだなと思います」