インタビュー

LONG REVIEW――PAGE “You topia”



マスもコアも等しく更新するラップ・ポップ



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2011年、中学3年でニコニコ動画にラップを投稿しはじめ、いきなりその年の10代アーティスト限定フェス〈閃光ライオット〉でグランプリを獲得。そして本シングルでメジャー・デビュー……ここまでわずか1年半。異例のスピードで日本の音楽シーンに足を踏み入れることとなった新鋭ラッパー、PAGEが放つ“You topia”は、初期衝動と高い完成度を兼ね備えた一枚だ。ここでは、17歳らしいフレッシュネスが、卓越したスキルと丁寧なプロダクションによって親しみやすいポップ・ミュージックに消化されている。

SPEEDや中川翔子などの楽曲を手掛けるnishi-kenがアレンジを担ったタイトル曲は、レゲエっぽいニュアンスを孕んだ軽やかなナンバー。カップリングの“マナツニミタユメ”はSHIMI(BUZZER BEATS)が90年代R&B風のビートを敷いたアーバン・チューン。いずれもメロディアスでキャッチーな仕上がりだ。変声期を抜けきっていないような声で、片思いや思春期特有の煩悶といった等身大の感情を描写する様は、なんともチャーミング。淀みないライミングによって展開される物語にはシンプルさゆえに、世代を問わず誰もが共有できる普遍的な魅力がある。

また、リミックス2曲では日本語ラップ創成期から活躍するヴェテランを招聘している。MUROがデビュー前の楽曲を改編した“Monochrome”は、美しいピアノの旋律が揺らぐメランコリックな逸品で、スチャダラパーのSHINCOによる“You topia”は、シンセ・ベースが柔らかく明滅するディスコ・ダブ風のトラック。ポップス寄りのオリジナルと対を成すように、リミックスではオルタナティヴなサウンドが展開されているのが興味深いし、マスもコアも等しく更新していこうという意思が込められているのかもしれない。


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掲載: 2012年07月16日 18:00

更新: 2012年07月16日 18:00

文/澤田大輔