PAGE “You topia”
[ interview ]
日本のラップ・ミュージックの可能性を大きく広げる、若き才能の登場である。
愛媛県松山市在住の17歳、PAGE。まずはメジャー・デビュー曲“You topia”に触れてみてほしい。叙情的なピアノと煌びやかな4つ打ちのビートを軸にしたトラック、憂いと瑞々しさが共存する声、思春期特有の切ない恋愛シーンを映し出すリリック。この曲を聴けば、ラッパーとしてのポテンシャルの高さをダイレクトに体感してもらえるはずだ。初登場となる今回は、音楽との出会い~ネット・ラップ、ニコニコ動画への投稿~10代限定フェス〈閃光ライオット2011〉でのグランプリ獲得から今回のリリースまで、これまでのキャリアについてたっぷりと語ってもらった。
17になって、落ち込みます
――6月で17歳になったんですよね。
「はい、17になったばっかりですね。落ち込みますね、ホントに。また年取っちゃったって」
――思い描いた通りの17歳じゃないですか? デビューも決まって、どんどん夢が叶っていて。
「そうなんですかね? まあ、これからがんばったら、叶うんじゃないかなって……」
――落ち着いてますねえ。PAGE君が音楽に目覚めたのは、小学6年生のときに観たケツメイシのライヴDVDということですが。どうしてケツメイシに興味を持ったんですか?
「当時流行ってたんですよね、ケツメイシさんの曲が。それまでは音楽にあんまり興味を持ってなかったんだけど、YouTubeで検索してみたら〈なんかいいな〉って思って。で、お金があるときにDVDを買ったんです。RYOさんのラップがいいなって思いました」
――それ以前、CDとかは買ってなかった?
「そうですね……音楽がめちゃくちゃ好きっていうわけではなかったんで。あ、でも、しんちゃん(クレヨンしんちゃん)が好きで、映画(2007年の公開の〈クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ歌うケツだけ爆弾!〉)の主題歌になってたSEAMOさんの“Cry Baby”っていうシングルを買ったことあります。初めて買ったCDはそれですね」
――やっぱりラッパーじゃないですか(笑)。ケツメイシに出会ってからは、他のヒップホップ・アーティストも聴くようになりました?
「いや、ずっとケツメイシさんだけでした。アルバムも全部借りてきて、2年くらいはケツメイシさんしか聴いてなかったですね」
――それで、いきなり〈自分でやってみよう〉と思ったんですか?
「うーん……自分でもやってみたいっていう気持ちはめちゃくちゃあったんですけど、中学生くらいになると、だいぶ現実が見えはじめるじゃないですか。そのときに〈これはムリだろうな〉って思ったんですよね。まあ、趣味でもいいから、いつか音楽をやれたらいいなくらいで。で、中2くらいから、またヒップホップを漁りはじめるんですよ」
――プロフィールのフェイヴァリット・アーティストには、BUDDHA BRAND、キングギドラ、環ROYなども挙がってますね。
「そうですね。その時期にネット・ラップに出会ったんですよ。そこでらっぷびとっていうラッパーのことも知って。あとはニコニコ動画とか。そのときに〈これなら自分にもできるな〉って思ったんですよね。パソコンと機材さえあれば、曲を作って投稿できるじゃないですか。機材を買ったのは中3のときですね」
――機材のことも調べた?
「はい。機材の知識とか、全然なかったんで。まあ、サウンドハウス(機材の通販サイト)でオススメしてるヤツを買っただけなんですけどね。マイクはこれ、インターフェイスはこれ、ヘッドフォンはこれっていう感じで。あとはYahoo知恵袋で〈この機材、全部いっしょに使えますか〉って訊いて」
――え、何で?
「いや、もし使えなかったら困るじゃないですか。〈このインターフェイスにはこのマイクしか使えない〉みたいなことがあったら、すごいイヤだなって。でも、Yahoo知恵袋で質問したら〈使えます〉って教えてくれた人がいたので、〈あざっす〉って言って、それを全部速攻で買って。4~5万くらいだったと思います、確か」
――中学生にとっては一世一代の買い物ですよね。すぐ使えるようになりました?
「はい、2日くらいで。録るだけだったら、わりとすぐにできるようになりました。ただ、ミックスとかは全然わからなかったですけど。最初、(ヘッドフォンの)右耳を外した状態で録音してたんですよ。いちばん初めに投稿した曲を再生してみたら、左(のスピーカー)からしか聴こえなくて。あ~右から音が出てない、みたいな」
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