インタビュー

INTERVIEW(3)——オートチューンのエモさ



オートチューンのエモさ



livetune adding Fukase(from SEKAI NO OWARI)



――アレンジはいかがですか?

「今回はFukase君に引っ張られたのか、ギターが準主役みたいになってますね。でもサウンドに関しても、あんまり奇を衒ったようなことはしたくないなと思ってました。若かりし頃はとにかくワブルを入れてみたりとか、いまだったらトラップだったりジュークだったりだと思うんですけど、そういうのを安直に採り入れるのはかっこ悪いなと思うようになって。自分も黒崎真音ちゃんの曲に採り入れたりして、あれは上手くいったんですけど、いまは考えもなしに入れるのはどうかなと思いはじめて。サウンドデザインに関しては、うまい使い方を慎重に考えないとな、って思ってます。中田(ヤスタカ)さんがきゃりーぱみゅぱみゅの“インベーダーインベーダー”でようやくワブルを使って、さすが大人だなと思いました(笑)。使いどころは考えなきゃいけない。この半年でいろいろ考えはじめましたね。ポピュラリティーに徹するために、何をしなきゃいけないっていうのを」

――その結果、突き抜けたポップスになってるんですよね。SEKAI NO OWARIのファンの方も楽しく聴けると思うんです。

「そうであってほしいと思って作りました。どこか必ず救いがあるようなポップスっていうのがFukase君にフィットしてるなと思っていたので。なぜFukase君を選んだのかっていうところで、ファンの人を失望させたくないなっていうのはありました。ファンの人が何を求めてるかなんて100%はわからないので、作ってるときは考えてもしょうがないんですけど。でも、なるべくならファンの人にも聴いてほしいと思ってましたね」

――SEKAI NO OWARIの“RPG”ではさりげないオートチューン使いが上手くて、今回のコラボの影響もあったのかななんて考えてました。

「彼らのオートチューンの使い方って、ただ〈使ってみました!〉みたいな感じじゃなくて、決めどころにちゃんと持ってくるんですよね。彼らは昔からそういうことをやっていて、僕もすごく良いなと思ってます。だから今回、Dメロだけオートチューンにしました。Fukase君みたいなウィスパー気味の声っていうのは、オートチューンがよく映えるんですね。カップリングの“Each and All”のRin Oikawaさん(Q;indivi)なんかもそうなんですけど。おいしいから、どこかで使いたいと思ってたんですけど、それがDメロにすごくハマりました。Fukase君たちも〈ここはオートチューンがいいんじゃない?〉みたいに言ってくれてたし。お互いがお互いの作品にいい影響が出たら嬉しいなとは思います」

――ここぞというときだけに使いましたね。

「オートチューンのエモさっていうのがありますよね。いつも、人間の声に全編かけるのはほとんどやってないんですけど、今回は〈ここだろう〉っていうのが明確にありました」

――それから、MVが今回もすごいですよね。

「僕が〈こういうもので〉って枠を作ってしまうと狭まってしまうので、今回も丸投げです(笑)。(ファンタジスタ)歌麿呂さんに頼むととんでもないものが出来上がるので、全幅の信頼を置いてます。僕は、締切の3日前くらいに現状を観るくらいがいいなと。構想が送られてきても、ざっと目を通すくらいで、〈またすごいことになっている!〉って、お客さん気分で楽しむことにしてます」

――音楽に関してはコントロールすることを考えるけど、映像は丸投げなんですね。

「餅は餅屋だなと思っているので。(ネジが飛んでいるファンタジスタ歌麿呂の)ネジを飛ばしたままで、拾わないようにしておきたいというか(笑)。作品を作ってもらいたいと思ってます。“Transfer”はループを使ったアニメだったけど、今回はほとんどない。かなり変態的な映像になってますね」


カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2013年06月05日 18:01

更新: 2013年06月05日 18:01

インタヴュー・文/南波一海