INTERVIEW(4)――歌が上手くなりたい!
歌が上手くなりたい!
――そして、アルバムの最後は“The Other Side of Love”の新しいヴァージョンですが、改めてデビュー曲を歌ってみていかがでした?
「デビューした頃は子供で、歌詞の意味もわからずに歌っていたんですけど、今回はまず歌詞と改めて向き合いましたね。恋愛も含めて、デビュー後に経験したいろんなことが、この新しいヴァージョンに消化されていると思います。アレンジを徳澤青弦さんにお願いしたんですけど、青弦さんとは10年以上の付き合いで、去年、the HIATUSのツアーへいっしょに参加した時にいろいろ話をして、すごく私のことを理解してくれているなって思ったんです。だから青弦さんにお願いしたんですけど、すごく歌そのものの良さを引き出すアレンジにしてくれましたね。私はもう少し上手く歌いたかったんですけど(笑)、青弦さんに〈違う、呟くくらいでいいんだ〉って言われて」
――歌い方も違っているし、オリジナル曲のギター・ソロの代わりにコーラス・アレンジが加わったりして、すごく美雨さんの声にこだわったヴァージョンになっていますね。
「〈歌声の変化を伝えることが、こういうアルバムを作る意味なんじゃないの?〉っていうことを青弦さんが引き出してくれた気がします。カッコつけるな、というか(笑)。〈そのままの美雨ちゃんが歌声に出ることが聴く人の心を震わせるわけでしょ〉ということを言われて、わあ、恥ずかしいなって」
――やはり、声は美雨さんの歌のいちばんの魅力ですもんね。答えにくい質問かもしれませんが、自分の歌声の好きなところはどんなところですか?
「うーん……良くも悪くも真っ直ぐなところかな。わかりやすくソウルフルではない、というところで損をすることもあるんですよね。エモーショナルなものを伝える時に、わかりやすい節とかがあるとわかりやすい。そういうのを使わないというのは損をすることもあるんですけど、私の声は楽器のように使える声質でもあるので音楽的にはすごく遊べるというか。それに色を付けない方法で人を包み込んでみたいなと」
――無色というか、透明感がある声だからこそ、聴く人の気持ちにすっと入り込むことができる。
「そういうこともありますね。声によっていろんな役割があると思うので。だから歌だけではなく、ラジオとかナレーションとか、いろんなものに使っていただけたらと思います」
――では、このベスト盤をひとつの節目にして、これからやってみたいこと、めざしていることってありますか?
「歌が上手くなりたい! ホントに上手くなりたいですね。いっしょに演奏したい人、音楽を作りたい人もいます。バンドもやりたいし、おお雨でも一枚作ってみたいし」
――音楽以外では?
「マッサージを習いたいです(笑)。(身体の)凝っているところがなんとなくわかるんですよ。それも人の役に立つことじゃないですか。習っといて損はないかなと。最近、身体がしんどいって言う人が多すぎるから」
――それって、スタバの店員になりたい、という思いに通じるものがありますね。
「うん。美味しいコーヒーが淹れられて、マッサージもできたらいいですよね」
――男性側からすれば、最高の奥さんですね(笑)。
「じゃあ、良い嫁をめざします(笑)」