インタビュー

INTERVIEW(3)――リスナーと希望をシェアできる歌を届けたい



リスナーと希望をシェアできる歌を届けたい



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――カヴァーの選曲は、Mondayさんご自身によるもの?

「レーベル側からも何曲か提案を頂いていて、そのなかからエドゥ・ロボの“Zanzibar”がすごく素敵だったので入れよう、と。その1曲以外は自分で選んだものですね」

――カヴァー曲を歌うときに心掛けていることなどはあるんでしょうか?

「自分の好きな曲を歌うときは、ちゃんとその曲/アーティストにリスペクトを示す意味でも、できる限りオリジナルの良い部分を壊したくないって思ってます。でも、どこか自分のテイスト、自分らしさを入れないと、ただのコピーになってしまう。そういうのはやりたくないんです。オリジナルをあまり聴きすぎても、吸収しすぎて真似になっちゃうと嫌だから、原曲のエッセンスは採り入れつつ、程良く自分の表現でやるということを大切にしています」

――カヴァーをするうえで難航したこととか、印象的なエピソードはありますか?

「制作自体は本当にスムーズに進められたんですが……難航したのはカヴァー曲のパブリッシングにまつわるクリアランスですね(笑)。マルコス・ヴァーリ“Parabéns”とミルトン・ナシメント“Tudo O Que Voce Podia Ser”は、当然ながら元の歌詞がポルトガル語じゃないですか。でも、話せもしないポルトガル語をその場しのぎで歌うより、いつも歌っている英語でやりたいなって。それで、ブラジルに住んでいる友達に英語に訳してもらって、そこからまた歌いやすいようにメロディアスな歌詞に私が書き直したんです。その使用許可が下りるまでどれだけ苦労したか(笑)。ミュージシャン繋がりでマルコス・ヴァーリを紹介してもらって、彼本人にも出来上がった曲を聴いてもらって、〈いい仕上がりだね〉なんて本当に嬉しいお返事を頂いて、使用OKまでもらったんですよ。それをパブリッシングにも伝えたんだけど、正式にクリアランスが出るまでずいぶん時間が……。でも最終的にOKが出て全曲無事に収録できたので、いまは本当にほっとしています(笑)」

――私も全曲無事に聴けて嬉しいです(笑)。今回は打ち込みメインということですけど、そこに生楽器もプラスされていますよね。

「実は私も5曲ほどキーボードやフルートで参加してます(笑)。今回は、参加ミュージシャンについてもプロデューサーのシモーネさんに、〈あなたにとっていっしょに仕事しやすい人へ声をかけて〉とお任せしました。ミュージシャンのレコーディング現場も彼にすべて預けたんです。いつもは私がプロデューサーをやっているので、現場へ行ったら癖で口が出てしまいそうだったし、そしたら彼も気を遣うだろうし……やっぱりちゃんと彼のヴィジョンを尊重したくて。それがとってもいい結果に繋がりました。こんなに信頼して託したのは……もしかしたら大沢伸一以来かも。今回こうやってよその人にアレンジとプロデュースを預けたことで違う刺激があったし、何よりただヴォーカリストであることに集中できるというのがすごく新鮮でした。久しぶりに試みたことだったけど、得たものが大きくて、これからはこういうスタンスでもっと作品を作ってみたくなりましたね」

――今作はもちろん、Mondayさんの作品にはいつも独特の気持ち良いグルーヴを感じます。インタヴュー記事やライナーなどで、ご自身でも〈グルーヴ〉という言葉を使ってらっしゃっているのをよく目にしますが、そこは意識している部分なのでしょうか?

「最近は逆に、自然なグルーヴが出るように、あんまり意識しないようにしていますね。例えばテンポが(手でリズムを打って歌いながら)こうだとしたら、本当はしっかりそのリズムに乗せなきゃいけないんだけど、最近はそこにグルーヴがちゃんとあるんだったら、逆にヴォーカルでそれを壊していく感じが楽しくて。確かなグルーヴの上で、鳥が自由気ままに飛んでいるような感じっていうのかな。ものによってはグルーヴのポケットに歌をしっかりはめていくことも必要だけど、それをあえて壊していく楽しさ。下手にやってしまうと、ただのリズム感がない人になるから微妙なんだけど(笑)。ここ数年はそれがやりやすくなってきてますね」

――改めて訊いてみたかったのですが、Mondayさんが音楽を通して伝えたいメッセージとはどんなことですか?

「(即答で)希望! そのために、自分自身も音楽に対して嘘つくことなく真っ直ぐ向き合っていきたい。例え一見暗いと感じるような内容の歌でも、いつも希望を込めて歌っているつもり。聴いてくれる人と希望をシェアできるような歌を届けていきたいです」

――では最後に、これから挑戦したいこと、展望などは?

「ブラジルに行きたい! ブラジルで歌いたい! ただただ、それに尽きますね(笑)」



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掲載: 2013年07月10日 18:00

更新: 2013年07月10日 18:00

インタヴュー・文/岡部徳枝