INTERVIEW(4)――殺し合いから共存へ
殺し合いから共存へ
――そうすると、今回の『2』は、ヌーヴェルヴァーグ的な感性にアルマゲドンの感性が混じり込んだアルバムということですかね。
「うん、そうなりますね(笑)。なんか、そうあるべきだと思ったというか、そういうふうに考えだしたらすべてがおもしろいというかね。つまらないものとか、わからないもの、理解できないもの、くだらないものとか、そういうものに金を使うおもしろさ、楽しさってあるじゃないですか。cali≠gariって結構そういう存在かなって思うんですよ」
――でも、この『2』に関しては違いません? 聴き手を昂揚させるポップソングが揃った良いアルバムだと思います。
「うーん、なんかこの頃って、俺が作るべき曲っていうのは自分のなかで決めてて」
――その〈俺が作るべき曲〉というのは?
「まあ、こういう言い方もどうかと思いますけど、あんまりこういう曲、ないと思うんですね。われわれのようなバンドでこういう曲をやってる人はまずいないですし、そういうものを作らなきゃいけないんだ俺は、っていう時期だったんです。メイン・ソングライターはあくまでも青さんだったから、俺がアルバムで何曲か作るとしたら、まあこんな、ちょっと変わった感じの……」
――青さんがある意味の王道を行くとしたら、石井さんはどれだけはみ出していくかっていう?
「うん。その頃はそういう時期だったんですよね。だから、難しいところですよ。で、俺がはみ出していくから、青さんは青さんでどんどん王道を作るしかなくなっていくみたいなね、結構だから、殺し合ってる時期ですよ(笑)。『8』とか、『第7実験室』もそうかな。楽曲の面では、っていうことですよ? いまはそんなことないですけどね。要は、青さんとふたりだけで考えたら趣味もまったく違うけど、重なる部分ってあるじゃないですか。だけどお互い、その重なる部分は絶対に出しちゃいけないってね。でも、意外とその重なる部分がおいしいところなんだよな~っていう。今回のに収録されてる曲は、そこがいちばんない時期なんですよ。いまはそんなことないから、わりとまあ、共存してるとは思いますけどね」
――それは確かにそう思いますね、『8』は特に。作曲者の個性がよりディープに出ているように思います。
「そうなんでしょうね。あえてそうしようとしてたっていうね。頭で単純に考えてそういうふうにやってた感じだから、ですね」
――その当時の曲に、いまの石井さん……と言いますか、いまの全員を反映させたら『2』のような不思議なバランスのポップ感が生まれたということなんですね。
「うん、そうですね……そうですね」
――そして、この先のcali≠gariの予定は2月に東京ディズニーリゾート内の舞浜アンフィシアターで行われる〈東京カリ≠ガリランド〉になるかと思いますが、何か予告できることはありますか?
「まあ、音楽的には新曲ですかね。ファンクラブに配布した曲と、新たに別の新曲も作ろうと思ってるけど、せっかくだから、セットリストとかもだいぶ変えてできればいいなと……無理かな。どうだろう? あとはまあ、青さんが普通のライヴにはしたくないって必死なんで。宙吊りになるぐらいのこと言ってました。そんなのは勝手にやってもらって」
――ディズニーで宙吊りというと……ピーターパン的な?
「飛んだらいいですよね。でもそのときは、俺との間に衝立とか立ててもらって、見えないようにしてもらいたいですね。笑っちゃうから(笑)」