INTERVIEW(2)――プロデュースしてもらうことに魅力を感じる
プロデュースしてもらうことに魅力を感じる
──これまでの作品で携わったプロデューサーの方々も含め、今回もいろんな方々といっしょにYun*chiの世界観を作り上げているわけですけど、なかでもkz(livetune)さんは、Yun*chiさんの成長をずっと見届けている方ですよね。
「“Believe*”という曲は2年ぐらい前に出来ていた曲で、同じくファースト・ミニ・アルバムにも入っていた“Reverb*”があって、“Shake you*”があって、今回初めてお聴かせする“Perfect days”があって。そこだけでもYun*chiの変化がかなり表れていると思います。もともとお友達でもあったので、kzさんが書いた曲が何曲も入っているのは感慨深いなって思うし、kzさんもそう思ってくれてると思います」
──〈不完全なものだっていいんだ〉とか、〈拙いかもしれないけど君と僕とで築いていこう〉っていう“Perfect days”の歌詞は、長い付き合いの方じゃないと書けないものだと思いますよ。この歌詞には、Yun*chiさんのアイデアも反映されていたりするんですか?
「忙しいなかでもよくコミュニケーションを取ってくださって話を聞いてもらってはいるんですけど、kzさんの詞に関しては、“Believe*”以外お任せしているんです。それはルールというか、ミディアムからアップテンポの曲はKzさんのほうが素敵な歌詞を作ってくださるので。パーフェクトじゃなくてもがんばっていける、ひとりだけでがんばらなくてもいいんだよっていうことを教えてくれる──この歌詞は本当に大好きです。いまの自分にとって、すごく大切な曲ですね」
──では、新曲について伺っていきましょう。kzさんが書かれた頭3曲に続く“Fantasize*”(作詞/田中秀典、作・編曲/飛内将大)は、ノスタルジックなメロディーが乗ったダンス・ポップで。
「歌謡曲っぽさがあって大好きな曲ですね。〈恋は盲目〉と言わんばかりの歌詞も乙女チックな感じで、表現がすごいなって思います。だって、〈タメ息 ブレンダー 詰め込んで粉々にしたい〉ですよ(笑)。ちょっと意味がわからないですけど、でも、そうしたいぐらいため息をつきたくなるときってあるんですよね。自分が歌詞を書いていない曲では、表現の幅広さに心を撃ち抜かれたような気持ちになって……いつも勉強させられてます」
──歌謡曲っぽさが好きということですけど、歌謡曲のどんなところに惹かれるんでしょう?
「80年代のアイドルさんが好きなんですけど、ちょっとクレイジーな感じが見え隠れするじゃないですか。見てはいけなかったのではないか?って思わせる感じとかが魅力的で、私も〈Yun*chiそんな歌詞書いちゃうの!〉って言われるような表現もしていきたいなって思っていますし、ファースト・ミニ・アルバム『Yun*chi』のジャケットで〈唇〉を表現しましたけど、唇ってセクシーな部分、性を感じさせるものだったりして、それをスタイリッシュに見せることができたと思うんですね。母親が好きだったので、年齢のわりには昔のものを聴いたり観たりしていて、80年代のアイドルさんにはすごく感じるものが多かったですね。私も最近は、プロデュースしていただくということに改めて魅力を感じるようになっていて、それこそ歌謡曲の時代のように、大人の方が作った曲を若い人が歌う魅力というか、そういうものにも惹かれるんです。kzさんのように年の近い人たちと作業をするのももちろん楽しいんですけど、HUMのHIROさんやU-SKE(浅田祐介)さんは私よりずっと上ですし、そういう方々ともいっしょにお仕事させてもらえるのは贅沢だなって思いますし、幸せですね」
──“Vivace*”は、そのU-SKEさんが書かれた曲ですよね。ここでのウィスパー・ヴォイスはちょっと新鮮です。
「曲が出来上がったばかりのときはウィスパーじゃなくて、強めの、芯がある声で歌ってたんですけど、歌詞が上がってからウィスパーで歌ったほうがイイかも?っていうことになって、U-SKEさんと相談しながらやってみたら、こっちのほうがが合うねって。歌詞を書いていただくにあたって、こだま(さおり)さんに投げたイメージは、ハイヒールが似合う大人の女性が骨董通りを歩いていて、通りを行き交うクルマのクラクションとかが聴こえてくる……っていう感じで、ウィスパーで歌おうっていうことにはなったんですけど、難しかったですね。やったことがないことではなかったんですけど、いろんなことを経験して、いま聴かせるってなると……」
──自分自身でハードルを上げたわけですね。
「ちょっとずつちょっとずつではあるんですけど、いろんなことを学んで、身に付けているところはあると思うので、もっとこうしたい、高めていきたいっていう思いは、自分のなかにも曲を作ってくださる皆さんのなかにもあるのかなって思います」
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