圧倒的な歌唱力と親しみやすいキャラクターが愛されて50年! 比類なき現役感で女王の座に君臨するパティ・ラベルが、ついに黄金トリオのラベルを32年ぶりに本格始動させた。今回は彼女たちの輝かしい功績とパティの現在を検証してみよう
昨年7月、ニューオーリンズで行われた〈エッセンス・ミュージック・フェスティヴァル〉でパティ・ラベルを称えるトリビュート・ショウがあった。パティがブルーベルズの前身となるオーデッツとして音楽活動を始めてから50年、それを祝うものだ。ステージではアンジー・ストーン、レディシ、クリセット・ミシェル、アーマ・トーマスといった新旧の女性シンガーたちが、それぞれパティの代表曲を本人の前で熱唱。けれど、圧倒的な歌ぢからと存在感を見せつけたのはやはり主役のパティで、64歳にしてヒールにミニスカという出で立ちで、靴を放り投げるお約束のパフォーマンスも交えたステージは、パティの健在ぶりを示すに十分すぎるほどのものだった。
そして、そのショウではノーナ・ヘンドリックスとサラ・ダッシュを迎えたラベルの再結成ライヴも披露。32年ぶりのニュー・アルバムとなる『Back To Now』のリリースに先駆けたパフォーマンスということで事前から話題になっていたが、何より心を揺さぶられたのは、ニューオーリンズの娼婦が主人公となる74年のヒット曲“Lady Marmalade”をハリケーン・カトリーナの被害から立ち直りつつあるかの地で歌ったことだ。彼女たちの間にも、再結成のお披露目はニューオーリンズから……という思いがあったのだろう。マルディグラの衣装と宇宙服を合体させたような奇抜な衣装を纏い、70年代にオルタナティヴなソウルで新風を巻き起こしたラベル。その衣装について「私はドラッグ・クイーンの元祖よ」と話すパティ(たち)は、実際にゲイ層からも支持を集め、あらゆる意味で新しい扉を開いた。76年の解散後も3人は何度か顔を合わせていたわけだが、〈チェンジ〉が叫ばれるこの時代にラベルとして戻ってきたというのは、やはり意義深いことのように思える。