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第38回 ─ レディー・マーマレード

ESSENTIALS 忘れられない名盤たち その1

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2009/03/19   02:00
更新
2009/03/19   18:01
ソース
『bounce』 307号(2009/2/25)
テキスト
文/出嶌 孝次、林 剛

PATTI LABELLE & THE BLUEBELLES 『Over The Rainbow』 Atlantic(1966)
ラベルの前身となるブルーベルズは、シンディ・バードソング(後にシュープリームスに加入)を含むキュートな4人組だった。これはバート・バーンズの制作となるアトランティックでの初作で、ビートルズやライチャス・ブラザーズなどの名曲カヴァーが中心。表題曲は有名なスタンダードながら、彼女たちがオリジナルであるかのような印象さえある。それもこれもパティの強烈な個性ゆえだ。
(林)

LABELLE 『Labelle』 Warner Bros.(1971)
ラベルとしてのデビュー作。渡英時に培ったコネクションを活かし、キット・ランバートとヴィッキー・ウィッカムの制作で仕上げられた内容は、まさにソウル、ファンク、ロックのミックスで、ラベルのスタイルはすでに完成されている。同年に共演するローラ・ニーロの“Time & Love”をはじめとする名曲の独自解釈も話題となった部分だが、ノーナ・ヘンドリックスがソングライターとして力を発揮しはじめていることにも注目したい。
(林)

LAURA NYRO AND LABELLE 『Gonna Take A Miracle』 Epic(1971)
以前からR&Bに傾倒していたローラ・ニーロが、憧れの〈元ブルーベルズ〉を従えてモータウンやシカゴ・ソウルなどの名曲を歌った傑作。ヴィッキー・ウィッカムを通じて知り合い、この共演へと発展したという。制作はパティの盟友であるギャンブル&ハフ。主役はローラだが裏ジャケに堂々と写るラベルもコーラス隊以上の活躍を見せる。“The Bells”などはローラとパティのデュエットと言ってもいいほどだ。
(林)

LABELLE 『Moon Shadow』 Warner Bros.(1972)
ヴィッキー・ウィッカムとジャック・アダムスが制作したラベルの2作目。ザ・フー曲のカヴァーで始まり、表題曲がキャット・スティーヴンス曲だったりするものの、大半の曲はノーナ・ヘンドリックスの作で、ラベルとしての主張をより明確にした作品とも言えるだろう。チャック・レイニーやデヴィッド・スピノザといったNYの腕利きも演奏に加わり、ニュー・ソウル的な洗練も加味されたグルーヴィーな快作となった。
(林)

LABELLE 『Nightbirds』 Epic(1974)
あの“Lady Marmalade”(オリジナルは作者のケニー・ノーランがいたイレヴンス・アワー)を含むエピック移籍第1弾アルバム。アラン・トゥーサンとミーターズの持つニューオーリンズ的な雑食感覚が彼女たちのオルタナ感をさらに増幅させた感じの作品となり、粘りのあるグルーヴィーなサウンドをバックに3人が歌う。RCAからの前作『Pressure Cookin'』(73年)同様にメッセージ性も色濃く、歌声も力強くシャープになった。
(林)


PATTI LABELLE 『Patti LaBelle』 Epic(1977)
ラベルの前年作『Chameleon』を手掛けていたデヴィッド・ルービンソンがプロデュースを手掛けた、パティのソロ・デビュー作。同じく続投となるレイ・パーカーJrやジェイムズ・ギャドソンらの腕利きも交えて、さらにアーバンなソウルをめざした快作だ。フィリー・ソウル的なノリの“Joy To Have Your Love”を筆頭に、ファンクからバラードまでを伸び伸びと歌うパティには、ソロになっても3人分の勢いと迫力がある。
(林)