圧倒的な歌唱と進歩的なサウンド
フランス語で〈Beautiful〉を意味するラベル(La Belle)。そもそもラベルとは、ブルーベルズとして4人で活動していた際にパティに付けられた芸名で、ブルーベルズからシンディ・バードソングが脱退した後、それがそのまま新しいグループの名前にもなった。つまりその名はパティがグループの主役であることを示すわけだが、あの甲高くパワフルな歌声を聴けば、彼女が脇役に甘んじるキャラじゃないことはわかるだろう。
『Burnin'』(91年)というタイトルのソロ作があるように、まさに燃えるような、時に大仰とも感じられるその声は、本当に圧倒的と呼ぶに相応しく、いまも変わらぬパティのトレードマークである。それゆえに、ステージで共演したシンガーから「もう少し声量を抑えてくれないかしら」と非難を浴びたこともあったというが、彼女はめげなかった。それどころか、年を経るごとにそのパワーは増すばかりだ。マイケル・マクドナルドとの“On My Own”(86年)で頂点に昇り詰めてからも、プリンスやテディ・ライリー、ジャム&ルイスといったプロデューサーと組んできたパティだが、その歌声が彼らの作るビートに埋もれてしまうようなことはなかった。ラベル時代からゴスペル、ソウル、ファンク、ロック、ジャズなどをごちゃ混ぜにしてオルタナティヴな表現をしてきた彼女は、新しい音に恐れず、常に進歩的である。メジャーのレーベルで活動を続けてこられた理由もわかろうというものだ。