HAWA 『My Little Green Box』 Favorite (2011)
セネガルの血を引くフランスの女性シンガーが、ミスター・プレジデントの率いるパッチワークスのバックアップで仕上げた処女アルバム。レゲエやスカなどの要素をまぶした陽性ヴィンテージ・ソウル集といった趣で、ベン・ロンクル・ソウルを育んだ仏ソウル・シーンの一端も垣間見せる。*林
BABYSTONE 『BabyStone』 BabyStone (2011)
スライ・ストーンの愛娘、ノヴィナ・カーメルが組んだファンク・ユニットのEP。スライがヨレたダミ声で客演した“Ask Me”も含め、現代的なビートでスライ直系のファンクを聴かせる内容は、本当は親父がいまやりたかったことを娘が実現してしまった感じか。気風のいいノヴィナの歌やバンドの演奏が清々しい。*林
YORRELLE 『Feels Like Love』 Woods(2011)
US南部出身の若手、ヨリエルの初作。ディープな歌声で勝負するタイプではなくハイトーン・ヴォイスでもって軽やかにネオ・ソウルを歌っているのだが、イナタいミディアムの“Southern Ice Tea”やゴーゴー調の“Mr. VIP”では気取らないサザン・ガールといった表情が窺えて、そちらも好印象だ。*池谷
MARISA LINDSAY 『Deeper Love』 Thunder Dome (2009)
リアーナやカヴァー・ドライヴと同じバルバドス島出身ながらも、南国のポップネスではなくオーガニックな面が表れたと言える好盤。これは2枚目のアルバムで、レゲエ調やスムースジャズ風の爽快でトロピカルな楽曲もあるが、エリカ・バドゥ・フォロワーな歌唱を聴かせる“Upswing”が白眉だ。*池谷
DILOUYA 『Dilouya's Faithful Circus』 H24 Mazik (2011)
ジャケだけ見ても内容はよくわからないが……ディロウヤと読むフランス人プロデューサーのリーダー作。往年のアシッド・ジャズ・アクトにも通じる饒舌なソウル・センスを備え、スライ・ジョンソンら複数のシンガーを招いてグルーヴィーに仕立てている。オマー参加の“Over The Sun”がやはり快い。*出嶌
NTJAM ROSIE 『Elle』 Ntjam/SWEET SOUL (2011)
オランダはロッテルダムから登場したジャジー・ソウル歌姫。ローズの音色を活かした70sソウル〜フュージョン的な爽やかでメロウなバッキングと、柔らかで落ち着いたヴォーカルとの美しい調和は、エスペランサ・スポルディングの近作に通じるか。雰囲気モノとは一線を画す、芯の強さを感じさせる一枚だ。*林
SONG 『Let Love Shine』 Norte Ptite/SWEET SOUL (2011)
DJカムのプレゼンツ作品で知られるタッセル&ナチュラルの2007年作『Food For Thought』を、ボーナス・トラックも加える形でリパッケージしたもの。故グールーやマーカス・ミラー、マヌ・カチェといったゲスト陣の振る舞いもジャズマタズなムードに寄与。ユーロ産ならではの洗練されたフューチャー・ジャズ盤だ。 *出嶌
TERI TOBIN 『Love Infinity』 Sol 2 Kep (2011)
クーリオの97年作で歌っていたこともあるアリゾナ出身のネオ・ソウル歌姫によるデビュー盤。時にディープな一面も見せるクールで官能的なヴォーカルはさすがの安定感で、メロディアスなミッド“Free”など、ジャジー&メロウなトラックといい相性を見せる。スロウにおける表現力もかなりのもの。*林