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ガーディナーによるメンデルスゾーン『宗教改革』&序曲集(SACDハイブリッド+ブルーレイ・オーディオ)

ガーディナーのメンデルスゾーン「宗教改革」

サー・ジョン・エリオット・ガーディナーがロンドン響を指揮するメンデルスゾーン・シリーズの第2弾。2014年10月にレコーディングされたばかりの交響曲第5番は、ガーディナーには1996年にウィーン・フィルを指揮したライヴ録音盤があったので、18年ぶり2度目の録音ということになります。「宗教改革」という呼び名で知られる第5交響曲は、プロテスタント側にとっての宗教改革史上重要な出来事として、メンデルスゾーン自らもその熱心な信者であったルター派の拠りどころ「アウクスブルク信仰告白」(1530年)が起草されてから300周年を迎えるのを記念して、1830年に作曲されています。なにより音楽それ自身を通じて、曲名の内実に触れさせ、創作のひらめきを感じさせてくれるところが「宗教改革」の特徴で、つまり、第1楽章では讃美歌「ドレスデン・アーメン」が弦楽によって引用され、さらに、フィナーレのモチーフは、ルター作曲の有名なコラール「神はわが砦」に基づいて書かれています。併録のふたつの序曲はいずれも文学作品に着想を得たものです。作曲者と親交のあったドイツの文豪ゲーテによる2篇の短い詩に基づく「静かな海と楽しい航海」は、穏やかで深深としたアダージョの開始から、やがて意気揚々と港への帰還へと移行する、船乗りの航海を描写した演奏会用序曲。海がみせる対照的な表情を扱った2部構成も巧みで、うつくしくロマンティックな音楽が味わえます。
フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴーの同名戯曲の序曲として、ライプツィヒの劇場より委嘱された「ルイ・ブラス」は、スペイン中世の宮廷を舞台に、はからずも計略により貴族を装って近づけられた平民の男が、王妃との真の愛に殉じて、みずから命を絶つ悲劇を描いており、ドラマティックな曲調が心に迫る内容です。
まず、バッハ演奏で評価を確立したガーディナーは、これまでにベートーヴェン、シューマン、ブラームスでも意欲的な取り組みをみせてきましたが、メンデルスゾーンとの相性はたいへん良いようで、長年の厚い信頼で結ばれたロンドン響を起用した効果もあって、前作に引き続いて充実の仕上がりが期待できるものと思われます。
プロデューサーのニコラス・パーカーは、ヴァイオリニストの経歴を持ち、ガーディナーとはイングリッシュ・バロック・ソロイスツの録音でもおなじみの間柄。ガーディナーがロンドン響を指揮したストラヴィンスキーの「放蕩者のなりゆき」で、2000年のグラミー賞最優秀オペラ録音を獲得している名コンビだけに録音面も万全。
なお、シリーズ第1弾同様に当アルバムもまた、従来のSACDハイブリッド盤に加えて、同一の演奏内容を収めたピュア・オーディオ・ブルーレイ・ディスクが同梱されます。お手持ちのブルーレイ・ディスク・プレーヤーで手軽に楽しめるハイスペックのフォーマットへの対応はオーディオ・ファイルから大好評で、なんとも嬉しい配慮といえるでしょう。(キングインターナショナル)

【収録曲目】
メンデルスゾーン:
交響曲第5番ニ長調op.107「宗教改革」
序曲「静かな海と楽しい航海」op.27
序曲「ルイ・ブラス」op.95

【演奏】
サー・ジョン・エリオット・ガーディナー(指揮)
ロンドン交響楽団

【録音】
2014年3月23日(op.95)
2014年10月2日(op.107 & 27)
ロンドン、バービカン・ホール(ライヴ)
プロデューサー&エディター:ニコラス・パーカー
エンジニアリング、ミキシング&マスタリング:Classic Sound Ltd
[SACD : DSD 5.1 surround stereo / 2.0 stereo]
[Pure Audio Blu ray : 5.1 DTS-HD Master Audio (24bit/192kHz), 2.0 LPCM (24bit/192kHz)]