エフゲニー・スドビン~『チャイコフスキー・オン・ザ・ピアノ』(SACDハイブリッド)
スドビン自編による華麗な「ルスランとリュドミラ」序曲
スドビンのチャイコフスキー・アルバム。でありながらグリンカ「ルスランとリュドミラ」序曲に始まります。これはチャイコフスキーがモスクワ音楽院の開校式で「新音楽院で最初に響く音楽は、グリンカじゃなければダメ!」と自らピアノに向かい弾いた逸話を再現。当然即興で楽譜にもしていないため、スドビンが想像で編曲しています。原曲自体が急速でボルテージが高く、これまでヴィルトゥオーゾ編曲がなかったのがむしろ不思議で、スドビンの華麗な編曲で新たな生命を得たと申せましょう。
アルバムの中心はスドビン編曲の幻想序曲「ロミオとジュリエット」。ドラマチックな迫力と中間部の甘美なメロディの歌いまわしが絶品。同じく「くるみ割り人形」の「花のワルツ」と「眠りの森の美女」の「ワルツ」は4手用編曲で、12歳の愛娘ベッラ(高音部)と連弾しています。非常に華やかで、スドビンの編曲の才能をうかがえます。「眠りの森の美女」はラフマニノフの編曲にさらに手を加え華麗にしています。
そのほかチャイコフスキーのオリジナル・ピアノ曲を9 篇披露、チャイコフスキーのメルヘンの世界をたっぷり堪能できます。時にパッセージを変更し、より効果的にするなど往年のロシアの巨匠たちを思わせます。
(キングインターナショナル)
『チャイコフスキー・オン・ザ・ピアノ』
【曲目】
1.グリンカ(スドビン編):「ルスランとリュドミラ」序曲
2.チャイコフスキー(スドビン編):くるみ割り人形~花のワルツ
3.チャイコフスキー:ドゥムカOp.59
4.チャイコフスキー:四季Op.37~11月「トロイカ」/6月「舟歌」
5.チャイコフスキー:2つの小品Op.10(夜想曲/ユモレスク)
6.チャイコフスキー:夜想曲Op.19の4
7.チャイコフスキー:18の小品Op.72~優しい非難/5拍子のワルツ/悲しい歌
8.チャイコフスキー(スドビン編):眠りの森の美女~ワルツ
9.チャイコフスキー(スドビン編):幻想的序曲「ロミオとジュリエット」
【演奏】
エフゲニー・スドビン(ピアノ)
ベッラ・スドビン(ピアノ)[2,8]
【録音】
2020年2月/ブレーメン放送ゼンデザール[4,6,9,5-1]
2021年6月/ヴェステロス・コンサート・ホール[1,3,7,5-2]
2022年7月29日/リストツェントルム(オーストリア)[2,8]
DSD
5.0 Surround sound
マルチチャンネル
BIS ecopak
73'58"
カテゴリ : ニューリリース | タグ : 高音質(クラシック) SACDハイブリッド(クラシック)
掲載: 2023年01月31日 00:00