『ブルックナー・フロム・アーカイヴ第5巻』ドホナーニ&北ドイツ放送響~交響曲第6番、カラヤン&ウィーン・フィル~テ・デウム、他 2枚組 2024年11月21日発売
大好評、ブルックナー・フロム・アーカイヴ第5集はドホナーニと北ドイツ放送響による第6番とミュラー・クライが指揮する第7番。どちらも初出音源です。(すべてモノーラル)
このプロジェクトは、放送業界でも活躍したアメリカ・ブルックナー協会の事務局長ジョン・F・バーキーの膨大なエアチェック・テープを中心に、選りすぐりの初出音源で交響曲全集をCD化するもの。同協会の総裁でブルックナー研究者のベンジャミン・コーストヴェットが監修と解説執筆を担当し、作品の作曲年順にCD化してきました。第5巻は1880年代に作曲された傑作3曲を収録。
コーストヴェットによれば1950年代から60年代の演奏には、近年のものよりもドラマティックで精彩に富み、刺激的なものが見られる点を評価しているとのこと。交響曲第6番は当時32歳のクリストフ・フォン・ドホナーニの指揮。ブルックナーの交響曲の中では小粒で地味な存在とされがちな曲ですが、第1楽章はAllegroではなくMajestoso、スケルツォ主部とフィナーレにも「速すぎずに」と書かれた指定を踏まえて、じっくりと構築して堂々たる威容を描き出します。フィナーレの最後に少しテンポを緩めて高揚と開放感をもたらすところはライヴらしい感興と言えそうです。
第7番は南ドイツ放送(SDR)交響楽団(のちのシュトゥットガルト放送交響楽団)を創設以来20年余りにわたり首席指揮者として率いたハンス・ミュラー・クライの指揮。前年に出版されたばかりのノーヴァク版を使い、第2楽章はシンバルやトライアングル入りです。演奏はテンポや音色の操作による楽想の描き分けが巧みで、音楽をギクシャクさせることなく多彩な表情を聞かせます。特に第2楽章は弦の優しく慰めるような音色と、時に歩みを止めて沈思するかのようなテンポの動かし方が深い情感に誘います。日本ではあまり知られていない指揮者ですが、この演奏を通じて関心を持つ人もいるのではないでしょうか。
カラヤン指揮のテ・デウムはウィーン楽友協会の150周年記念演奏会シリーズの一環として行われたもので、この作品が初演された会場での演奏です。この曲を得意としたカラヤンの覇気漲る指揮で、ビッグネームが並ぶソリスト陣も堂々たる歌唱。交響曲第7番第2楽章のクライマックスを思わせる結尾部の高揚感は素晴らしいものがあります 。
(ナクソス・ジャパン)
【曲目】
アントン・ブルックナー(1824-1896)
【CD1】
1-4. 交響曲第6番 イ長調 WAB 106(ノーヴァク版)…初CD化
5-9. テ・デウム WAB 45
【CD2】
1-4. 交響曲第7番 ホ長調 WAB 107(ノーヴァク版)…初CD化
【演奏】
クリストフ・フォン・ドホナーニ(指揮)…CD1:1-4
北ドイツ放送交響楽団…CD1:1-4
ウィルマ・リップ(ソプラノ)…CD1:5-9
エリーザベト・ヘンゲン(アルト)…CD1:5-9
ニコライ・ゲッダ(テノール)…CD1:5-9
ヴァルター・クレッペル(バス)…CD1:5-9
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団…CD1:5-9
ウィーン楽友協会合唱団…CD1:5-9
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)…CD1:5-9
南西ドイツ放送交響楽団…CD2
ハンス・ミュラー・クライ(指揮)…CD2
【録音】
全てモノラル
1961年11月18日(ライヴ)
ハンブルク、ムジークハレ(北ドイツ放送のエア・チェック)…CD1:1-4
1962年5月26日(ライヴ)
ウィーン、楽友協会大ホール(オーストリア放送のエア・チェック)…CD1:5-9
1955年9月22日(放送用の非公開スタジオ・ライヴ)
シュトゥットガルト、ヴィラ・ベルク、ゼンデザール(南ドイツ放送のエア・チェック)…CD2
総収録時間:142分
カテゴリ : ニューリリース | タグ : ANTON BRUCKNER
掲載: 2024年10月17日 00:00