INTERVIEW(2)――自意識にヤスリをかける
自意識にヤスリをかける
──最初の1年はライヴ活動を行わずに制作に専念していた、ということなんですが、それはそういう変拍子やポリリズムを鍛える、みたいな期間だったんですか。
新後「そうですね、1年間は練習をしようっていう話はしました。威呂波は全然練習をしなかったんですよ。みんなある程度できる人だったし、ライヴ前に〈グッと行ってください〉みたいな感じで言ってなんとかなってたんで(笑)。でも今回は、ちゃんとやろうという気になって」
濱田「その1年のうちの最初は、身体を反応させるのがほんと大変でしたね」
──手癖が出ないようにしなきゃなんない、みたいな?
濱田「そうなんですよ。曲にパッと入って即興でスッと出てくるようなものは、排除しないといけない。それを破壊とまでは言わないけど、別の方向に向けなければいけなかったので、そこの苦労はありました。でも気分的には最高だと思ってやってますけど」
──手癖とか自己主張とかをある程度抑えなきゃいけないわけで、そこは納得していたんですか。
齊所「そのへんの納得に1年をかけた(笑)。やっぱりジャズって、職人的なスタイルでやっていると、〈ここはこれやろ〉みたいな既成概念があったり、こういうのを弾きたいとか、変な自意識が出てしまったりする。そこを、全体でバランスが取れるようにヤスリがけをする、というのは、新後の考えていることをなんとなくじゃないレヴェルで理解する必要があって。なので、しっかりリハをして、言葉だけじゃなく音として、聴きながら、ほんとに理解をしていく過程だったのかなと思ってます」
──それで納得がいく感じにはなったんですか。
齊所「僕は全体を捉えるということができなくて、というよりわかんないんです。それよりも、瞬間瞬間のねじれ感とかコード進行とかを刹那的に楽しむタイプかな、って自分では思っているので。全体は新後のことを信頼して、彼にいいねって言ってもらえるように(笑)。そういうふうになりました」