インタビュー

LIVE REPORT & REVIEW――全曲解説(2)

掲載: 2010年07月07日 17:59

 

壊れかけのテープレコーダーズ “雪どけ水を飲みほして”

音源とライヴ・パフォーマンスとの落差がもっとも激しかったのが彼ら。今回提供された楽曲こそ牧歌的なポップソングだが、会場で体感したのは、耳をつんざくような爆音と密閉されたフロアの空気感とが入り混じって生み出された、濃厚なサイケデリア。取材の際は物静かな印象だったkomoriの豹変ぶりにも驚愕。オルガンを操りながらツイン・ヴォーカルの一翼を担う紅一点=yusaの存在が、エモさ全開のサウンドのなかにイノセントな色を添えていた。

 

SEBASTIAN X “LIFE PLEATS(TOKYO NEW WAVE ver.)”

まず、フロントの永原が解き放つエネルギーがものすごい。どうしたらあんな声が出るのか不思議でならないパワフルなヴォーカリゼーションに先導される、圧倒的に陽性のステージ。ギターレスという編成だが、それを補って余りあるほどに鍵盤の音色が歌いまくっていて、聴いていると心が浮き立つ。オリエンタルなピアノ・リフと〈君がプリーツならば 僕がスカートだ〉といったアヴァンな歌詞が開放的に弾ける“LIFE PLEATS”もその延長線上にある楽曲。この曲に特化するなら、異様にポップなたま、と言えるかも?

 

the mornings “amazon surf”

会場に足を踏み入れた途端に目に飛び込んできたのは、頭上を飛び交うダイヴァーの群れ。この日のステージでもっとも凶暴な盛り上がりを見せたthe morningsは、筆者の個人的なベスト・アクトでもある。やたらと扇動的な楽曲が享楽的な暴動の発端となったことは確かだが、そのなかにはもちろんこの“amazon surf”も。変拍子が入り乱れるなかで暴れ回るエマージェンシーなギター・リフとチープなシンセ音。超高速ポエトリー・リーディングに乗せて放たれる狂ったイマジネーション。その噴出口を覗き込めば、見えてくるのはそう、日常だ。

 

オワリカラ “十代から始める革命講座(TOKYO NEW WAVE ver.)”“ビート(TOKYO NEW WAVE ver.)”

この日の大トリを務めた彼らは、重厚かつタイトなバンド・アンサンブルと反比例した(いい意味で)統一感のないプレイ・スタイルが強烈だった。ギターを振り回しながらところ狭しと跳ねまくるタカハシに、キーボードを観客に手渡してひたすら踊るカメダ、ネックをあごの下に挟んでベースを引きずりながら退場する(で、また出てくる)ツダ。新世代らしい破天荒さで繰り出されるブルージーなサイケデリック・ロックに終始やられっぱなしだった数十分。本作にも、枯れた空気感とフレッシュな感性が同居した2曲が収録されている。

 

 

andymori “クレイジークレーマー”

現在のバンドの立ち位置からして、このコンピのラインナップに招聘されたことに若干の違和感を覚えたが、選者のブログを見たところ〈このコンピに収録されるバンドたちを好きだった男の子のことを歌っていて、彼の肉声も入っているから〉だそう。そう言えば作者の小山田壮平も、別のライヴのMCで〈友達の○○に捧げます〉と亡くなったその子の実名を挙げて紹介していた。収録曲は、カントリー調の軽快なサウンドに乗せて、(恐らく)マスな意味合いでの社会性には馴染むことができなかった友人のことを歌った楽曲。

 

ARTLESS NOTE “ハンバーグ”

この日のイヴェントには不参加だったため、唯一ライヴを観れていない3人組。ギター&ヴォーカル、ドラムス&コーラス、ドラムス&シンセといった編成で構築されるのは、絶妙な〈ハズシ〉を随所にまぶしたローファイなオルタナティヴ・ロック。本作に収録の“ハンバーグ” は、サビの歌メロのわかりやすさといい、彼らにしては比較的シンプルな楽曲。単独作では、ノイズも変拍子も渾然一体となった末になぜかポップソングへと転じる、意味を超越した曲たちに巡り合うことができる。