インタビュー

INTERVIEW(3)――他者性が入ってきたのが大きい

 

他者性が入ってきたのが大きい

 

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――“かくれんぼ”のカップリング“夢織り唄”はどんなふうに作った曲ですか? これはsleepy.acのライヴCDに一足先に入ってましたが。

「これも、山内が作ってきたインストみたいなものがあって。すごくあったかい、フォーキーな、〈北の国から〉みたいなイメージの曲で、〈山内、こんなの作るんだ〉みたいな。寒いから暖炉のそばにいるあったかさみたいな、北海道の温度感ってそんな感じがするんですよ。外はすごく寒いけど部屋はあったかい感じというのは、北海道にしかないと思うんですね。その温度感や生々しさをすごく感じて、すごく近いというか、ダイレクトな歌詞になったと思います。これもひと言〈きみとぼくは似ているね〉というところから始まって、そこから風景がどんどん浮かんでいきました」

――いまのモードがすごくよく出てますね。時期によってそうやって言葉使いが少しずつ変わっていくのがとてもおもしろいです。長く聴いているリスナーとしては。

「その時しか書けないんですよね。そういう意味では素直だなと思います。やっぱり続けていくと、〈あの時のsleepy.abが良かった〉とか、いろいろあるじゃないですか、聴く人によって。〈ちょっと痛々しくて、ダークな感じの昔の曲が好き〉とか。その気持ちもすごくわかるし、俺もいいなと思うんですけど、やっぱり変わっていくものなので、自分たちは。その時感じたものをそのまま投影できればいいなと思います」

――“君と背景”“かくれんぼ”の2枚で、いまのモードと、これからの方向性が見えてきた気がします。結果的に、今回は2曲とも山内くん始まりの曲になったわけですけど、最近はメンバーが積極的に曲を出してくるモードになってるんですか。

「そうですね。今年の曲は、俺が一人で作った曲というのはないです。俺と誰かという感じで、3人とも作ってます。リズムから始まる曲があったり、アプローチが変わったりするのがおもしろいんですよ」

――それは意図的にやってることなんですか。

「初めは意図的じゃなかったんですけど、メンバーから曲が出てくるたびに〈いいね、それやりたい〉という感じになって。わりといまは全体的に、山内憲介プロデュース的な感じがあるんですよね、バンドのなかでは。それと最近の曲は、なんとなく冬っぽい感じになってきたなって自分たちで思いますね。昔は〈北海道っぽい〉〈冬っぽい〉とか言われてもよくわからなかったんですけど、〈こういうことかな〉とか、うっすらわかってきたというか。冬と言っても、さっき言ったみたいに暖炉であったまるみたいなのが冬っぽいのかなとか、そういう温度感みたいなことなのかなって。それと、自分たちが作っている温度感みたいなものって、共通してるなと思うので……セカンドの時ですよね? 最初に取材してもらったのって」

――そうですね。6年ぐらい前ですか。

「(その頃は)眠るために作るとか、日曜日の夕方の雰囲気とか、そういうふうに言ってましたよね。そういう意味では、変わってきてるんでしょうね、振り返ると。やっぱり、他者性みたいなものが入って来たのが大きいのかもしれないです」

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掲載: 2010年11月17日 18:00

インタヴュー・文/宮本英夫