INTERVIEW(4)――二面性があるから続けられる
二面性があるから続けられる
――そうですね。でも無理にそうしているわけではなく、自然に変化してきていると思うので。それはとてもいい変化だと思いますよ。
「自分がちょっと開いたという意識のもとでライヴで歌ったりすると、返ってくる感じがやっぱりありますよね。反射する感じというか。〈こういうことなんだ〉〈これでいいんだ〉みたいな」
――やっぱり、比例するものですか。こちらが開いた気持ちになれば、そのぶん反射も大きくなるというか。
「そうですね。けど、開いたら開いたぶん、やっぱり閉じなきゃいけなくなるという、さっきのバランスの話になるんですけど。それをたぶん、曲でやってるんだと思います。二面性みたいなものも考えていて、そこがあるから続けられるのかなって」
――会場の規模で言っても、最近は小さなライヴハウスから大きなフェスまで、そういう二面性もうまく使っているように見えます。
「夏フェスとか、需要あるのかな?って思ってたんですけどね(笑)。真夏にsleepy.abとか、俺は〈どうなんだろう?〉と思ってたんですけど、〈ROCK IN JAPAN FES.〉に出た時に、海の横のステージだったんですけど、会場についたらギラギラしていて、でも演奏が始まったら風がふわっと吹いて、温度が2~3度下がったような……あれは不思議な体験でした。逆にアコースティック・ツアーの時は、〈おやすみなさい〉って言ってから始める感じだったんですよ。〈どうぞ寝てください〉と(笑)。本当に1曲目で寝ている人、いましたからね。最終日に。彼女がsleepy.abが好きで、その彼氏みたいな感じで、わかんないですけど、彼女に起こされていて(笑)。しかも1列目ですからね(笑)」
――素晴らしい(笑)。さすがスリーピー(笑)。
「だからアコースティックは寝てください、フェスでは涼みに来てください、という感じですね。去年、〈COUNTDOWN JAPAN〉に出た時も、〈後ろのほうでバタバタ倒れていたよ〉って言われましたけどね。sleepy.abで寝るっていう、すごくいいなと思います」
――どのように聴いても自由だと。
「こうしてほしい、というのがないのがいいなみたいな。みんなでワーッとなるのも、ちょっと苦手なんですよ。自由にやってくれたら、いちばんいいです。〈俺はsleepy.abをこう見る〉みたいな。ライヴでも、ベースはわりと動くので、そっち側のお客さんは動いてるんですけど、俺側のほうはまったく動いてないみたいな(笑)。そっちは揺らしていて、こっちは茫然と見てるみたいな。〈後ろから見たらおもしろかった〉って言われたことがあります」
――その自由さを保ったまま、振り幅を広げていって、小さいところでも大きいところでも届けられれば最強ですね。すごくいい流れだと思います。そして現在はアルバム制作中ということで、〈新譜録音経過報告行脚ワンマンツアー〉が11月3日の札幌からスタートして、ファイナルが12月1日の福岡になるわけですが。これはつまり、未公開の新曲をどんどんやってしまうということですね?
「そうですね。さっき反射と言いましたけど、人の耳に入って何か返ってくることが、すごく好きなんでしょうね。確認したがるみたいな感覚なのかなって自分で思います」
――楽しみにしてます。
「曲作りはいまがいちばん佳境なんで……(笑)。がんばろうかなと思います」
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