インタビュー

SISTER JET 『LONELY PLANET BOY』

 

SISTER JET_特集カバー

 

[ interview ]

満を持しての新曲と言っていいだろう。爆発的な昂揚感を誘う“SAY YES”においてSISTER JETは新たな地平に立ち、そのキラー・アンセムを旗印に掲げたニュー・アルバム『LONELY PLANET BOY』を提示することで、さらなる一歩を踏み出そうとしている。2009年のミニ・アルバム『JETBOY JETGIRL』から、2010年の2枚のシングル“MR. LONELY”“キャラメルフレーバー”を経て、1年と2か月。その間に彼らが着々と培ってきたロックンロールとは? そのワンストロークに込められた想いとは? 3人に話を訊いた。

 

 

よりパーソナルに

 

――新作『LONELY PLANET BOY』を聴いたあと、改めて過去のインタヴューを読み返してみて思ったんですが、今回のアルバムはコンセプトありきというよりは、この1年間の、3人の変化……成長を記録したようなものかと。

ワタルS(ヴォーカル/ギター)「うん。そうだね」

――なので、今日は実際にこの1年間を振り返ってみようかな、と。

ワタルS「みましょうか」

――では最初に、収録されている12曲、出来た順を教えてください。

3人「おお~!!」

(記憶を頼りに紛糾しながら、収録曲を並べ替える3人。以下が完成順)

・さよならポケット→2009年のミニ・アルバム『JETBOY JETGIRL』初出
・マギーメイブルース
・シュガーベイビーブルー
・アディオス・アミーゴ
・MR. LONELY→2010年2月リリースのシングル
・かもめのジョナサン
・キャラメルフレーバー→2010年6月リリースのシングル
・8ビートはパンク少年のもの
・ナミダあふれても
・わらえないぜ
・LOVE SONG (ON THE AIR)
・SAY YES

――確か去年の1月の終わりに“MR. LONELY”の取材をしたとき、〈昨日“ナミダあふれても”が出来た、っていう話をしてたんですよ。

ワタルS「そうだ」

――タイトルまでは言ってなかったから、いま思えば、ですけどね。そして、こうした並びを見ると、歌詞の変化が時系列で表れている気がしますね。

ワタルS「ホントだ。おもしろいかもね、並べ替えてみると」

――では早速振り返ると、まず2009年11月のミニ・アルバム『JETBOY JETGIRL』の取材のときに、〈これからはラヴソングじゃない歌を歌っていきます〉という宣言をしていらっしゃいました。

ワタルS「いらっしゃいましたか(笑)」

――はい(笑)。で、その宣言通りに次のリリースとなる“MR. LONELY”は、ラヴソングというオブラートに包まずに孤独を歌った曲でした。

ワタルS「そうだね。そこからよりパーソナルな面が出てきてるよね。でも“MR. LONELY”のときは、まだ第三者に託してるじゃないですか」

――ああ、詞の主人公は負け続きのボクサーですもんね。

ワタルS「それが、〈ナミダ〉以降かな? 最近は一人称の、自分の視点で歌ってるというか」

――そこから一人称に変化したというのは、よりダイレクトになったということですよね。“MR. LONELY”あたりから、よりリスナーを意識して曲を書くようになりはじめていた気がします。

ワタルS「それはある。“MR. LONELY”が出来て、ホントにその頃から闘い出したよね」

ショウサカベ(ベース)「うん、そうだね」

ワタルS「ライヴに臨む姿勢というか。1月の〈列伝ツアー〉のあとに自分たちのツアーを回ったり、CLUB QUATTROとか野音でワンマンをやったり、夏フェスに出たり。不特定多数の人に観てもらえるチャンスが増えたんだけど、来てくれた人たちを裏切りたくないと思って、毎回集中して臨んでた。そこにいる人たちの目を俺たちに向けさせたかったんだと思うよ。だから曲も、すごい意識してるところはあると思う」

――具体的にはどういう?

ワタルS「より自分のこととか、思ったことを……なんて言うの? 俺の〈匂い〉みたいのを、曲にべっとりつける作業は意識したかな」

――その〈匂い〉って、サカベさんとアオキさんから見るとどういうところですか?

サカベ「ワタルくんは、天然記念物なんですよ」

ワタルS「(笑)絶滅寸前ですか」

サカベ「(笑)絶滅寸前。これだけシンプルなことしかできない人って、なかなかいなくて。いまの時代、〈ジャカジャーン!〉っていうギターのストロークひとつで勝負しよう、そこに賭けよう、と思う人なんて、あんまりいないと思うんですよね。そのカッコ良さがわかる人も少なくなってるだろうし。それでもワタルくんは、〈ジャカジャーン!〉をいかにシンプルに、カッコ良く伝えられるかを模索し続けてる。僕は、そこを支えてあげたいなって思ってます」

――アオキさんはどうですか?

ケンスケアオキ(ドラムス)「俺は、どっちかと言うと、匂いを消していく作業なんじゃないかな、って。付き合いが長いからかもしれないけど、俺はもう、曲を聴いたときに〈ああ、ワタルくんの歌だ〉って思う瞬間がすごいあって。でも、その状態だとやっぱ、ダメなんですよね。カッコ良くないし、そういう曲は」

ワタルS「あははははは、おい(笑)! 言いたいことはわかるけど(笑)」

アオキ「今回のアルバムで言ったら“かもめのジョナサン”とか、めっちゃ匂いが残ってるんですよ。さっき本人が言ってた〈匂い〉とは、別の意味になっちゃってるけど……」

 

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掲載: 2011年01月12日 18:00

更新: 2011年01月12日 18:38

インタヴュー・文/土田真弓