インタビュー

INTERVIEW(4)――やっとキックオフ

 

やっとキックオフ

 

SISTER JET1

 

――その“SAY YES”は最後に出来た曲であり、かつリード曲でもあるわけですが、この曲が出来たときに、ゴールに辿り着いたっていう感覚はありました?

ワタルS「いや、やっとキックオフだと思ったよ。“キャラメルフレーバー”とか、ちょっと自分的に出来が良い曲を作ったときは〈ああ、もう次は作れないかも〉って思っちゃったりしたんだけど、今回は〈もっともっといけるな〉って」

――この曲はどういう過程で出来上がったんですか?

サカベ「バンドでジャムってるうちに、イントロのとこかな? 最初に16分の〈ジャーン!〉ってところが出来て、ワタルくんがそこから広げてメロディーとコード進行持ってきてくれて」

アオキ「特に3人で話し合ったりしてないのに、話してる感じで出来たよね」

ワタルS「そう、久しぶりに。だから俺は、歌詞をワーッて作ってた一週間とか、あんま覚えてないんだよね。知らない間にレコーディングしてたぐらいの感じ」

サカベ「俺は覚えてるよ。Aメロのなんとなくみたいなのがあって、イントロとAメロからジャムり出して、〈ウォ・ウォウォ・ウォ♪〉っていうコーラスが出来たときに〈それ、めちゃめちゃキャッチーだから広げていこう〉ってなって、ある日、ワタルくんがサビを作ってきたんです。でも俺ら二人は確か、ダメ出しをしたんですよね。サビが地味だ、って」

ワタルS「でも俺は、〈歌詞を乗っければ(全体が)見えるはずだ〉って言ったんだよね」

サカベ「そうそう。〈絶対これはいいから〉って言って、で、サビに〈ウォ・ウォウォ・ウォ♪〉って入れてみたら〈これ合うじゃん〉ってなって、大体の骨組みが出来て。あとは詞を待ってレコーディングしたのか」

ワタルS「大サビは降臨したな」

アオキ「うん」

ワタルS「あれはホント、最後の最後にきたね。最初もっと適当なのだったんだけど」

――“SAY YES”は本当にオープニングにぴったりな曲で。大サビのところでは、グンとスケール感が広がりますし。

ワタルS「うん。やっと歌えたな、と思った。この曲ではとにかく〈YESって言いたい〉っていうのが最初からあって。いままではすごく練って練って、アレンジまでしちゃってから世界観とか歌詞を決めてたんだけど、最近は、全員がどこへ向かうかのセッティングを、最初の段階でしはじめてはいるよね」

サカベ「だから、すごい簡単に作ったけど力強い曲になってるし、人の心にも届きやすい曲になってると思う。“SAY YES”が出来たときは、ホントにこの先進むトンネルの入り口に立った感があった」

――“SAY YES”を初めて聴いたときの個人的な感想なんですが、例えば、初期の“La La Dance”とか“hello goodbye days”のような昂揚感と、“to you”のようなエモーション。そういったSISTER JETの美点を、よりシンプルに、だからこそポップな、いまの3人に基づいた方法論で更新させた曲だと思ったんですよね。

サカベ「その通り、ホントにシンプルでいい曲が書けるようになってきてて、で、いまはまだ、山の三合目ぐらいな気がしてて。このアルバムはすごくいいアルバムで、納得のいくものが出来たんですけど、やっといま、トンネルの入り口に立って、そのトンネルは暗いけど、そこを抜けた先には何千人もの、何万人ものお客さんの顔が見えるような気がしてて……だからそれに向かって突き進んで行きたいです」

――今後が楽しみですね。では、最後の質問ですが。今回のアルバムは、ビートルズで言うと何にあたります?

ワタルS「(即答で)『Help!』。ジョン・レノンがようやく助けて、って言いはじめた頃じゃない? あと〈3人はアイドル〉……とかね(笑)」

――はは。変化はしたけど、ブレてはいないってことですね。『JETBOY JETGIRL』の取材のとき、次は『Help!』を作るって言ってましたもんね。

ワタルS「そうか」

――そうです。それで、今回は言いたいことを言い切れました?

ワタルS「それが、(言いたいことは)まだまだあるんだよね」

――(笑)では、ホントにここからまたスタート、なんですね。

ワタルS「うん、だからすごく楽しみ。どんどん変わっていきますよ、僕らは。これからもずっとね」

 

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2011年01月12日 18:00

更新: 2011年01月12日 18:38

インタヴュー・文/土田真弓