INTERVIEW(3)――なぜバンドをやったんだろう?
なぜバンドをやったんだろう?
──そういえば、作品のなかで吉村さんはあまりしゃべってないですよね。
川口「そう、全然しゃべってくれない(笑)。実際、ここに映ってるまんまの人で、カメラに向かってどうとか言う人じゃないんですよ。それが逆に、吉村さんのカリスマ性を浮き彫りにしてるかなと(笑)」
吉村「映画やるのはOKだけど、カメラに向かって絶対しゃべんないよって(笑)。言葉でのコミュニケーションってなかなかしづらいんだよなあ」
川口「それこそ曲作りのときに、吉村さんが〈そこのフレットじゃなくてここを弾けばいいんだよ〉っていう指示を出すことは絶対ないですもんね」
吉村「なんかおかしいんだよ、ってことまでは言うんだよ」
川口「吉村さんもそうとしか言えないっていうか、どこがおかしいっていうのは吉村さんもわからないから」
吉村「ここがおかしいっていうのを具体的に出せない。出しちゃうとシラケちゃうんだよね」
川口「それだとバンドじゃなくなっちゃうんでしょうね。ただ、答えは吉村さんのなかにしかないって射守矢さんは言ってますけど(笑)」
吉村「ジャッジは任せられてるんだけど、だからこそ言うの。ある程度きてくれたらOKだって。ある程度までこられなかったら、責任転嫁じゃないけど、オレたちダサいっていうことなんだよって」
川口「いろんなバンドがいて、的確にああしろこういろって言うリーダーもいると思うんですけど、ブッチャーズに関してはそうではないっていう」
──それこそがブッチャーズ。
川口「……たり得るところですよね。でもまあ、20数年やってると、音楽作りだけじゃない問題も出てきますよね」
吉村「やっぱり乗り越えて乗り越えていくと、もっともっと違う部分も見えてくるんじゃないかっていう感じで今後のことは考えてるんですけどね。いまはどちらかというと経済面とかでヘンにブチ当たっちゃってるけど、そこで負けたらやっぱダメだなあって、この映画でブッチャーズを客観的に見て思ったかな。ただ、よくよく考えてみると、なぜやったんだろう?って……」
川口「映画をですか!?」
吉村「いやいや、バンドをさ」
川口「それ、ものすごい疑問ですね。それは答えが出ないじゃないですか(笑)」