インタビュー

INTERVIEW(2)——ソウル感が感じられるものが好き

 

ソウル感が感じられるものが好き

 

井手綾香_A1

——確かに、声の説得力は非常に強いですよね。 

「ホントですか! 自分で自分の声が良いって思ったことがないんですよね。初めて自分の声を誉めてもらったのは小学1年生の頃だったんですけど、ものすごく嬉しくって、私は歌う仕事に就くんだってその頃から思いはじめました。でも、田舎なので、こんな田舎からそんな夢が叶えられるわけないって思ってた自分もいて、友達とかにはずっと言えなかったんですよね。歌手になりたいなんて言ったら絶対馬鹿にされるだろうって。だから、本当に夢が叶ってしまったことが信じられないし、よくまあ宮崎の端っこから東京まで来れたなあって自分でもびっくりしてます(笑)」 

——家族は協力的だったのでは? 

「そうですね、音楽の道に進んでほしかったってあとから言ってましたから。普通は、それこそ田舎だし、反対しますよね。私もそう言われると思って、しばらく親にも言えなかったんですよ。絶対東京になんて行かせてくれないよなあって。でも、曲を作ったら、すごく協力的で」 

——このレヴェルの歌を聴かされたら納得するでしょう。 

「初めて書いた曲は、まず母に聴かせたんです。そしたらボロボロ泣いちゃって。うちの家族って、音楽に関しては厳しくて、これは良いとかこれはダメだとか、TVにも文句をつけるぐらいなんですね(笑)。だから私もビクビクしながら聴かせたんですけど、すごく良いって言ってくれたから、それぐらい思ってもらえる曲が書けたんだってすごく自信がついて」 

——歌い方に関してもお手本はないんですか? 

「そうですねえ、特にはなくて。自分の好きな歌い方で歌ってるんですけど、いままで聴いてきた洋楽とかの雰囲気っていうのはちょっと出てるんじゃないかなっていうところはありますね。日本語で歌ってるので、まったく同じなわけではないですけど。自分で意識はしてないですけど、キャロル・キングの曲に似てるねって言われたことはあります。キャロル・キングはすごく聴いてましたし」 

——よく聴いていたのは、キャロル・キングの他にはどんなものが? 

「カーペンターズとか、ビートルズ、アレサ・フランクリン、レイ・チャールズ……あとはスティーヴィー・ワンダーとか。ソウル感っていうんですかね、そういうものを感じられるものが好きですね。他のものに頼ってないっていうのもヘンですけど、自分から出てきた音楽をそのまま形にしてる感じで、かっこいい」

——僕はジョニ・ミッチェルも思い浮かびました。彼女のセカンド・アルバムのジャケットは自画像でしたし。 

「そうなんですか! 絵と歌って似てるんですかね。歌う方で画を描く方って結構いらっしゃるし」 

——高校では芸術科を専攻してるそうですけど、絵は高校から? 

「これもまたちっちゃい頃から好きで、母が絵を描いてたんです。母の通ってた高校がミュージック&アート・スクールというところだったので、すごく上手で、私が小さい時にはよく似顔絵を描いてくれたりとか、いろんな絵を描いてるのを見てすごいなあって思ってて。だから、すごく絵にも興味があって、高校では絵をいっぱい描いてみたいなって思って」

——あえて音楽科ではなく。 

「音楽は、自分ひとりで生み出したいんです。なんだろうなあ、教えてもらうのもすごく大事かもしれないんですけど、自分が尊敬しているアーティストを聴いてそこから生み出すような、自分からしか出てこない音楽を大事にしたいと思ってるんですね。だから、高校ではもうひとつ好きなことができたらいいなと思って絵を勉強してます。音楽の授業がないのはちょっと淋しいんですけど、そのぶん家で思いっきり歌ってます!」 

——そういえば、母方のお祖父さんがグラミー賞ノミネート・アーティスト(トロンボーン奏者のビル・ワトラス)なんですよね? 

「お祖父ちゃんはグラミーにノミネートされたんだよって小さい頃から聞かされてたんですけど、グラミーがどのぐらいの規模のものか全然わからなかったんです。グラミーがどれだけすごいものかって知ってからは、お祖父ちゃんすごいなあって。実際に何度か会ってるんですけど、オーラがすごいんです。音楽をやってるんだ!っていうオーラが出ていて、かっこいいんですよ」

 

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掲載: 2011年08月03日 18:01

更新: 2011年08月03日 18:26

インタヴュー・文/久保田泰平