INTERVIEW(4)——テーマは〈ありのまま〉
テーマは〈ありのまま〉
——『Portfolio』に参加したプレイヤーで、この人のここがすごい!と思ったところはどんなところですか?
「まず、Dr.kyOnさんのピアノは〈信じられない!〉って思いました。聴けば聴くほど、アレンジの秘密が隠れてる感じで、聴くたびに新しい発見がありますね。国府弘子さんはレコーディングが独特でした。レコーディングっていう作業が緊張されるそうで、ライヴ感のあるレコーディングにしようってことになって、この曲だけクリックを聴かずに国府さんと私でアイコンタクトをとりながら一発で録ったものなんですね。この曲はちょっとライヴをそのまま収録したような感じになってます。本間(昭光)さんもすごかった! “愛をつなごう”って曲は、もともと私のなかでゴスペル・チックな、みんなで手を叩きながら歌うようなイメージの曲ではあったんですけど、それが本間さんには大きな愛を歌ってるバラードっぽい曲に聴こえたそうなので、こういうアレンジになったんです。歌っている意味が深くなったような気がします。ミトカツユキさんのテクニックも信じられませんでしたね。なんでそんなに手が動くんだろうって。音の圧もすごいですし」
——ミトさんが弾いている“まっすぐに”は、アルバムのなかでいちばんアップな曲ですね。それとは反対にいちばん物静かな“miss you”では十川ともじさんがピアノを。
「すごく綺麗なメロディーで、このアレンジすごく気に入ってます。暗めな曲ではあるんですけど、ローズの音がちょっと入ってて、それが切なさを増してて、イイ感じに仕上がっていますね」
——で、“こんな歌があったなら”は、綾香さんご自身が弾いた曲。
「私、弾いていいのかなって(笑)。こんなすごい方々のなかに私が混ざり込んでていいものなのかって心配で、もう、たくさん練習しました(笑)」
——ピアノと歌……深いですよね。
「はい、いちばん簡単なようでいちばん深い気がしますね」
——来年春には高校を卒業されるわけですけど、その後はどういった展開を予定してるんですか?
「まだ考えてないんですよね。曲を作りやすいのは実家なので、実家で書きたいって気持ちもあるんですけど、環境が変わって曲がどうなるのかっていう興味もあるし、不安もあるし。人がたくさんいて、ビルがたくさん建ち並ぶところに住んだらどういう歌詞が出てくるんだろうって。いろんなところで曲が書けるようになったほうがいいのかもしれないですけど、実家で生まれた曲がいちばん自然だと思います、いまは。インディーズで出した作品をいま聴くと、声も違うし、いまと比べると別人みたいな感じなんですね。だから、私がもうちょっと大人になって『Portrait』と『Portfolio』を聴いたらまだまだだなって思うかもしれないし、それぐらいちょっとずつ、曲と共に成長していけたらいいなって。だからこそ、いましかできないことを大切にしていきたい。自分のテーマ、守っていくことは〈ありのまま〉ってことなので」