インタビュー

井手綾香 『Portfolio』

 

井手綾香_特集カバー

 

[ interview ]

120頭もの野生馬が放牧される都井岬で有名な宮崎県串間市で生まれ育ち、現在は宮崎市内の高校に通う彼女──井手綾香は、この夏、18歳のバースデイを迎えたばかりのシンガー・ソングライターだ。歌とピアノだけで紡ぎ出される彼女の音楽は、どこまでもピュアで、美しく、胸を打つ力強さがある。今年3月にファースト・ミニ・アルバム『Portrait』を発表して以降、静かに、しかし着実に然るべきリスナーの耳に届きつつある彼女の歌。早くも2枚目のミニ・アルバム『Portfolio』がここに届けられた。

 

思い付いたメロディーをエンドレスで弾いていた

 

——ピアノは4歳から始めたそうですね?

「4歳だったのかはっきりとは憶えていないんですけど、すごくちっちゃい頃から弾いていた記憶はありますね。実家に伯母さんが昔弾いていたアップライト・ピアノがあったんですけど、それで遊んでました。ドとミとソをいっしょに押したらすごく綺麗な音が響いたとか、コードとかよくわかってなかったんですけど、自分で〈綺麗だなあ〉って音を見つけたりとか、何がなんだかわからずピアニストになりきって弾いてたりとか(笑)」

——お父さんがバンドマンで、お母さんがプロのダンサーという音楽一家……と言っても、いわゆる英才教育で叩き込まれたというのではなく、音楽に触れる機会が自然とあった家庭だったようですね。 

「父は若い頃に福岡のクラブでビートルズのコピー・バンドをして働いてたんですけど、宮崎に引っ越してきてからはお友達とバンドを組んでたまに演奏するぐらいで。私はそれをちっちゃい時からよく観に行ってた感じなんです。父も母も音楽を聴くのが大好きで、車での移動中は音楽がずっと流れてましたね。2人とも近いジャンルの音楽が好きで、60年代とか70年代の音楽が主に流れていたんですけど、自然と私もその時代の音楽が好きになっていって」 

——ピアノはいつ頃から真剣に始めたんですか? 

「小学校1年の時に、自分から〈習いたい!〉って言いました。ピアノを弾くことは好きで、その頃にはドレミファソラシドもわかってたんですけど、やっぱり基本的なことや技術を学びたいなって思ったので、それから中学校3年生まで習ってましたね」 

——やがて、自分で曲を作りたいと。 

「ある程度弾けるようになってから作曲にはすごく興味があって、ピアノだけだったらその場で思い付いたメロディーをエンドレスで弾いてたりとかしてました(笑)。でも、すごく良いメロディーが浮かんだとしてもすぐに忘れちゃうんですね。だから、これをちゃんと残せたらいいのにってずっと思ってたんですけど、そんな時に父が中古の4トラック・レコーダーを見つけてきて、それで録音を始めたんです。それで、ピアノだけ録ってたら、そのうち声も入れてみようってことになって」 

——作曲するにあたってお手本になったものはあるんですか? 

「だいたいAメロ~Bメロ~サビっていう順番があるんだっていうのはいろんな曲を聴いてわかって、そういうところは参考にしましたけど、特にこれを、って参考にしたものはなかったんです」 

——最初に曲が出来たのはいつ? 

「中2の時なんですけど、その曲がデビューするきっかけになった曲なんです。母の友人の旦那さんが音楽関係者で、その方に聴かせたら〈すごくイイ!〉って言ってくださって。最初の曲からそういう話になっちゃって、もう、何が何だかわからなかったですね(笑)。ホントにビックリしちゃって、トントン拍子すぎてどこかで絶対大きな壁にぶち当たるんだろうなって、うん、ずっとビクビクしてました(笑)」 

——その曲は音源化されているんですか? 

「いえ、それはまだ出てないですね。いま考えると歌詞はボロボロだし、何を言いたいのか全然わからないような曲なんですけど、声をすごく気に入っていただけたみたいで。で、どんどん話が進んでいくにつれて、〈もっと曲を書かないと!〉って焦り出して(笑)。でも、曲を書くのは楽しくてたまらなかったので、次はどういう曲を録ろうかなあとか考えながら学校に行ってました」

 

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掲載: 2011年08月03日 18:01

更新: 2011年08月03日 18:26

インタヴュー・文/久保田泰平