delofamilia 『Spaces in Queue』
[ interview ]
ORANGE RANGEのNAOTOこと廣山直人とRie fuによるユニット、delofamiliaが3枚目のアルバム『Spaces in Queue』をリリースする。前作『eddy』から始まった両者のコラボレーションにも磨きがかかり、シューゲイザーやグランジなどのオルタナティヴなサウンドと、Rie fuの表情豊かな声が紡ぎ出す歌の世界は、ヴァラエティーを増しつつもますます神秘的だ。お互いに刺激し合いながら新たなサウンドを生み出していくdelofamilia――そのユニークな舞台裏について、NAOTOとRie fuの二人に話を訊いた。
ワンワードから広がるイメージ
——お二人のコラボレーションになって今回で2作目ですが、どんな感じで曲を作るんですか?
Rie fu「ベースになるメロディーを作るのは直人さんで、10曲まとめて曲が届いて、それに私が歌詞を付けて送り返すんです。歌詞のテーマについては特に言われたりしないんですけど、それぞれにタイトルが付いているので、そのワンワードからイメージを広げていきます」
——曲とタイトルを結び付けながら歌詞にするんですか。ちょっと難しそうですね。
Rie fu「いや、難しいと思いきや、めちゃめちゃスムースで。直人さんの曲を聴いた瞬間、すぐに具体的な風景とか言葉が浮かんでくるんですよね。自分のソロの作品の作詞をするときよりも全然早く歌詞が出来る。やっぱり、自分とは違う感性で作られたメロディーとか音なんで、インスピレーションを受けやすいのかもしれないですね」
——例えば『Spaces in Queue』の1曲目ですが、“amateur”っていうタイトルと曲から、どんな世界が広がっていったんですか?
Rie fu「なんか、ある街の風景が浮かんできたんですよね。東京の、早朝の駅のホームで、通勤通学の人がいて、カラスがいて、女の人が写っている広告があって……そういう具体的な風景が見えてきたんです」
——曲を作ったほうとしては、そんなふうに新しいイメージが生まれるのって楽しいですよね。
直人「そうですね。僕は“amateur”は青臭さがある曲だなと思ってて。洗練されてはいないけど、そのときにしか出来ない曲というか。全体がとっ散らかっていて青臭い部分を残してるから〈アマチュアが作った曲みたいだなあ〉という気がして、“amateur”というタイトルにしたんです」
——それがRie fuさんの頭のなかでは、街の風景を呼び起こしたんですね。曲自体はアコースティック・ギターとディストーション・ギターが同時に鳴っている不思議な構成ですね。
直人「僕のなかでは、ギターをやりはじめたばかりのアマチュアの人たちが集まって、ギターの先生を見ながら〈1、2、3、4〉って一生懸命ギターを弾こうとしているような感じなんです。そのギターの響きが重なって独特の浮遊感とか、微妙な音のズレが生まれてる、みたいな」
Rie fu「へえ、そういう話、初めて聞きました」
直人「こういう話、あまりしないもんね。どんなイメージで曲を作ったとか。メンバーにも言わないし、自分でも忘れていることが多い」