INTERVIEW(3)――どれだけ世界を揺るがせるか
どれだけ世界を揺るがせるか
――歌詞も〈尖る〉イメージで書いたんですか?
Sally「そうですね。その〈RED MARQUEE〉のイメージをその場で聞いてですね、だったらもう、最高にキレてる女性が現れてどんな感じのことを歌ったら格好良いと思うか、どんな感じだったらおもしろいかなって。とにかくイキ切ってる女性を書きました(笑)」
――Sallyさんの歌詞って、〈いま〉をどれだけ大事に燃焼させるかっていう歌詞も多いと思うんですけど、そういう部分も表れてるかなって。
Sally「そうですね。その瞬間、最高に燃えてる人ってたぶん、2年後のこととかあまり考えてないと思うので(笑)、だからかなと思います」
Tomoya「刹那的でいいよね。〈明日なんて蜃気楼よ〉だもんね」
――2年後どころか、明日が蜃気楼ですから。
Tomoya「それって結構すごいと思うよ。〈いまが大事〉って言いつつ、普通は明日とか明後日ぐらいまでは考えるからね」
Sally「そうね。この方(歌詞の主人公)は、〈明日すらホントにあるかわかんないよ〉ぐらいにイキきってる方です(笑)」
Tomoya「でも、新しいバンドを始めようっていうときの心境ってそうだよね」
Sally「そうだね。そのときの気持ちと言ったら、どれだけ世界を揺るがしてやろうかぐらいの熱量だったんです。どれだけ世界をひっくり返してやるか、みたいな(笑)」
Tomoya「うんうん。誰もまだ自分たちのことを知らないっていうドキドキ感もあったと思うし」
ノイズが剥がれ落ちると……
――そんなイキ切った“My doll”と4曲目の“Fog”の間に、いつものようにインタールードとして“Core of the noise”が……これは珍しくキラキラしている、ドリーミーなシューゲイザーで。
Tomoya「ドリーミー・ノイズ、みたいな感じで。これはモロにシューゲイズ・ギターなんですけど、“Fog”へと繋ぐためのインタールードとして最後に作った曲ですね」
――“My doll”と“Fog”の落差が激しいですからね。
Tomoya「そうなんですよ(笑)」
――それをちょっと、煙に巻く感じで。
Tomoya「煙に……それはちょっと表現がよくない感じですよね(笑)」
Sally「魔法をかける、とか(笑)」
Tomoya「ちゃんといざなう、とか。煙に巻くだとうやむやにしてるみたい(笑)。でもまさにそういうことですよね。そこの帳尻を合わせるインタールードで……」
Sally「いかに気持ち良く“Fog”に入ってもらうかっていうことですよね」
――そうですね。
Tomoya「“Fog”には棘が一切ないですから。棘のないところに行くために……っていうところで、再生すると、最初はグワングワンにシューゲイズ・ギターが鳴っていてめちゃくちゃノイジーなんですけど、だんだんそのノイズが流れ落ちるというか、剥がれ落ちるというか、なくなっていって最後に純粋なメロディーを持ったアルペジオだけが残るっていう。それが俺たちのなかでは“Decadence”や“My doll”から“Fog”にいざなうための、必要不可欠な音だったっていうことなんです」
――“Fog”は音数をかなり絞って歌を立たせている曲だけに、“Core of the noise”のメロディーだけが残っていくっていう流れはわかりますね。
Tomoya「そうですよ。うやむやにしようとしたわけじゃないですよ(笑)」
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