INTERVIEW(2)――あえてスタジオで音を構築する方向に振り切った
あえてスタジオで音を構築する方向に振り切った
――では今回の新作ですが、どういうところから制作が始まったのでしょうか。
オータ「これの前にEP(『Music For Cinemas e.p.』)を出してるんですけど、それは『2001年宇宙の旅』とか『ブレードランナー』といった映画に影響を受けて作ったんです。その流れで、架空の映画のサントラをモチーフにしてアルバムを作ろうってところからスタートしたんですよね――結果的に全然違うものになりましたけど(笑)」
佐藤「あ~そうだった! 忘れてた!!」
――忘れてたけど、当初はそういうイメージだったと(笑)。
オータ「でも、ベーシックを録った時点で一旦制作が止まったんです。そこで当初の構想はぶっ飛んで」
――どう仕切り直したんでしょう?
オータ「一度頓挫したところで、バンドの存続自体が危ぶまれたんですよ。ライヴも調子良くなかったりして、このまま続けてもどうなんだ?って話までいったんです。で、ミーティングを重ねて……だから架空の映画どころじゃなくなったんですよ。そこでみんな現実に返ったんでしょうね(笑)」
――そこからはコンセプトなどは立てず、自然に作っていったんですか?
佐藤「仕切り直しをした時に、じゃあとりあえず曲を持ち寄ろうと。もともとメンバーみんなが曲を書けるんですけど、今回はより自然に各々が曲を持ち寄るスタイルになりましたね」
オータ「ライヴで揉んだ曲は最後の“morning mist”だけですね。あとは各々がレコーディング現場に曲を持ち寄って制作を始めるという。だから、作った当人以外は曲の全貌が見えてないんですよ。みんなどうなるのかわからないままレコーディングを進めて」
佐藤「毎回そんな感じではあるんですけど、今回は特にそういう傾向の強いレコーディングでした」
――それぞれプレイヤーとして活躍されてるので、現場でジャムって……みたいなところから曲を作っていったりするのかなと勝手に想像してたんですが。
オータ「あー、そういう作り方はしないですね」
佐藤「セカンドではジャム・セッションで作った曲もあるし、そういう作りもできたんですが、全員揃ってレコーディングするのが難しいという物理的な障害もあったし、今回はあえてスタジオで音を構築する方向に振り切りましたね」
――確かにライヴそのままのアンサンブルではなくて、スタジオワークで構築されてる部分の比重が大きいですよね。
佐藤「バンドのイメージに向けて音を作っていくんじゃなくて、曲を持ち寄るメンバーそれぞれの作家性を集めて、それをバンドというフォーマットに落とし込むという逆説的なアプローチと言いますか。あえてバンドっぽくない作り方にしたものが多いかもしれません」
オータ「だから、これライヴでどうするのかって問題もあるんですけどね(笑)。この通りにやるのは無理! まあ、メンバーが集まればなんとかなっちゃうところもあるんですけど」
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