LONG REVIEW――L.E.D.『in motion』& LIVE INFO
従来のリスナーも裏切ることなく進化した多彩なサウンド
メンバー各自がさまざまな音楽遍歴を経ていることもあり、最初からジャンルの括りに囚われることなく、聴き手へ自由に解釈を委ねるようなインスト・サウンドを展開してきたL.E.D.。その奔放さは前作『elementum』から約2年ぶりとなる今回のアルバムでも変わることなく、むしろより多彩で意外性にも富んだ広がりを見せている。
イントロからダブステップ的なリズム・アプローチで攻めの姿勢を提示する表題曲“in motion”に始まり、ヴィヴィッドでファニーな色合いのシンセが新機軸と言えそうな“ChinaCheeseGirl”、ブラジリアン・フレイヴァーのモダンで洗練されたグルーヴがウェスト・ロンドン系にも通じる“startosphere”など、彼らの本来のスタイルであるインスト曲にも新鮮なトピックは多いが、やはり注目はゲストが参加しているナンバーだ。Salyuを迎えた“空水になる”は、彼女のたおやかですべてを包み込むような歌声とノスタルジーを喚起するメロディー、微かなメランコリーを纏いながら壮大に展開していくサウンドが美しすぎる曲。これまでL.E.D.作品のアートワークやPVなどを手掛けてきた漫画家/映像作家のタナカカツキによる、サウナの魅力を詩的に表現した歌詞も、彼らしいヒネリが効いていておもしろい。
そして“賽の河原 ~八俣遠呂智の落とし子と鬼八の祟り~”には降神の志人がラップで参加。物語性の高い独特の世界観を持ったリリックで知られる彼が今回題材に選んだのは、賽の河原の伝説。日本神話から採ったイメージを散りばめながらマシンガンのように吐き出される言葉の渦と、ジャジーなループから一転、フリーキーなサックスが乱れ飛ぶジャム・セッションの激しいせめぎ合いは、エネルギーの奔流となって耳に迫り、なす術もなく圧倒されてしまうほどだ。
もちろん、これまでと同様にシネマティックで叙情的な景色を喚起させるような楽曲も多く、従来のファンにとっても馴染みやすいはず。進化の足取りを止めることなく〈in motion(=移動中)〉の彼らによる現状レポートに、ぜひ耳を傾けてほしい。
[ "in motion" TOUR SCHEDULE ]
5月11日(土) 伊勢シティプラザ
5月12日(日) 京都 CLUB METRO
5月26日(日) 名古屋 新栄Live & Lounge Vio
6月22日(土) 江ノ島OPPA-LA
and more...
〈club solanin vol.17 4th anniversary presents ~solanin festival '13~〉
6月16日(日) 岡崎城二の丸能楽堂