INTERVIEW(4)――バンド・サウンドとしてどうフィジカル化していくかの挑戦
バンド・サウンドとしてどうフィジカル化していくかの挑戦
――この曲に限らず、L.E.D.の曲はドラマティックな展開をするものが多いですよね。
オータ「メンバーの世代的なものですかねえ。バブルの時代を過ごして、でも上手くいかず不況で……みたいなドラマティックな人生を送ってきたので(笑)」
――(笑)。ただL.E.D.のドラマは、エモ系ポスト・ロックのドラマとは違いますよね。ウェザー・リポートの話がありましたけど、ああいう洗練された美しいドラマを描いてるというか。
オータ「エモ系のシーンとは違う路線で行きたいっていうのは意識してますね」
佐藤「そこに反骨精神はありますね(笑)。誰かが通ってる道をこのバンドで歩くのは嫌だなって。ただ、それを突き詰めちゃうと誰も聴いてくれないんじゃないかなって不安もあるんですけど(笑)」
――でも、そこがL.E.D.の個性であり、魅力だと思うんですよね。
オータ「2000年くらいから活動してるんですけど、当時から珍しいバンドだね、とは言われてたんですよ。DCPRGとかtoeとかが出てきたくらいの時期でしたけど」
佐藤「良いか悪いかは別として、似たようなバンドは他にいなかったよね。で、ずーっとやってきたけど、いまだにいないなあとは思います」
――さっきちょっとお話が出ましたけど、最後の“morning mist”だけはライヴで演奏してきた曲なんですよね。
佐藤「これがいちばん古い曲ですし、ライヴで固めて、ほぼ完成した状態でレコーディングしたんです」
オータ「〈朝霧JAM〉に出ることが決まって作った曲なんですよ。だから〈朝霧〉=“morning mist”っていうタイトルなんですけど(笑)。あのフェスに出たのはバンドのなかではかなり大きな事件だったんです」
佐藤「バンド活動を定着させるきっかけになったよね。どんどんライヴをやっていこうという」
――L.E.D.の曲にはオープンエアーなムードがすごありますけど、この曲にはそれがより顕著に出てますよね。
オータ「野外映えは意識してないんですけど、〈野外で観たい〉って声はすごくよく聞くんですよ」
佐藤「正直、なんで野外で聴きたいって言われるのかいまだにわかんないんですよね。特に今回のアルバムは、野外的な感覚から遠いところで作り込んだものなんですけど、完成したら周りの人間から〈やっぱ野外で聴きたい〉って意見が乱発して」
――L.E.D.の音は、ダンス・ミュージックのなかだとバレアリックとカテゴライズされるものに近いと思うんですよね。バレアリックって野外で映える解放感がポイントじゃないですか。
佐藤「なるほど。確かにバレアリックと言われることはありますし、僕自身、バレアリックなものは好きです」
オータ「でも、そういう意見が多いわりに、あんまりフェスに呼ばれないので……憤ってます(笑)。さっき〈美しい〉ってキーワードを出していただきましたけど、〈美しい〉とか〈爽やか〉みたいなところでさらっと聴けちゃうイメージがあるのかなとも思っていて。でも、ライヴは結構アッパーだし、踊れますよってことは主張したいですね。〈フェス映えしますよ!〉と太字で書いていただきたい(笑)」
佐藤「呼んでくれればいくらでもやりますよ!と(笑)。このアルバムはスタジオで作り込んだもので、ある意味ライヴを想定して作ってないので、アルバムで表現したことをライヴの場でお客さんにどう楽しんでもらうか、バンド・サウンドとしてどうフィジカル化していくかの挑戦になると思うんです。良い形で観せられれば、いままでにないライヴの感覚が生まれるんじゃないかなと期待してますね」