歌ものからハード・ロックまで! ダフト・パンク“Get Lucky”カヴァーの世界
ダフト・パンク
“One More Time”をはじめ数々のヒット曲を持ち、ダンス・ミュージック・シーンを代表するアクトとして世界的な評価と名声を得ている、トーマ・バンガルテルとギ=マニュエルによるフランスのデュオ、ダフト・パンク。彼らが今年5月に発表した8年ぶりのオリジナル・アルバム『Random Access Memories』は、世界34か国のチャートで1位を獲得し、日本でもオリコンの総合チャートで自身最高の3位をマーク。ゴールド・ディスクにも輝いており、間違いなく2013年を代表する作品と言えるだろう。
そんな本作の先行シングルとして発表され、アルバムの大ヒットを牽引したのが、彼らの新たな代表曲となった“Get Lucky”。ネプチューンズのファレル・ウィリアムズが独特のファルセットで歌い、シックの中心人物として70年代から活躍する名ギタリスト=ナイル・ロジャースのファンキーなギター・カッティングが炸裂するこのディスコティックなナンバーは、瞬く間に世界中へと拡散し、各国のチャートを席巻した。そして、そんな特大級のポップ・チューンに魅せられたさまざまなアーティストが同曲のカヴァーを発表。ここではその一部を紹介する。
まずは、エミリー・サンデー“Heaven”やレオナ・ルイス“Trouble”といったヒット曲を手掛け、ブリトニー・スピアーズの新作への参加も伝えられるなど、プロデューサーとして注目を集めているUKのノーティ・ボーイ。彼はBBCラジオのスタジオ・ライヴ番組「Live Lounge」にて“Get Lucky”のカヴァーを披露。歌っているのはタニカという女性シンガーで、彼女のディープな歌唱とストリングス・サウンドを交えたドラマティックなアレンジによって、原曲とはまるで異なる深淵な雰囲気を生み出している。なお、ノーティ・ボーイが今夏に発表したファースト・アルバム『Hotel Cabana』に、同じくタニカをフィーチャーした“Get Lucky”のカヴァーがボーナス・トラックとして収録されているので、ぜひこちらもチェックを!
そして、同じくBBCの「Live Lounge」にて“Get Lucky”をカヴァーしたのが、女性ヴォーカルのエレナ・トンラを中心とするロンドン発の3ピース・バンド、ドーター。エレナの陰影を帯びた歌声に深いリヴァーヴのかかったギターがサイケデリックに絡む、こちらも原曲を大胆に解釈したスロウな歌ものとなっている。
続いては、メイヤー・ホーソーンを輩出したことでも知られるLAの人気レーベル、ストーンズ・スロウに所属するサイケなソウル・バンド、ステップキッズ。こちらは昔のロックやジャズ、ソウル、ファンクなどをモダナイズしたような音を奏でる彼ららしい、ルーズなグルーヴがクセになる個性的なカヴァーと言えそうだ。
さらに、ソウルやハウスを程よくブレンドしたエレクトロ・ポップな音楽スタイルで知られるオーストラリアのサム・スパローは、4つ打ちのダンサブルなアレンジでカヴァー。スペーシーなシンセやヴォコーダーを駆使したエレクトロ・ハウス風に仕上がっており、生音が中心となった『Random Access Memories』以前のダフト・パンクのスタイルに近いかもしれない。
意外なところでは、紅一点のリジー・ヘイル(ヴォーカル/ギター)を擁するペンシルヴァニア出身の4人組ハード・ロック・バンド、ヘイルストームも“Get Lucky”のカヴァーに挑戦! リジーの野太い歌声とパワフルな演奏、サビ部分での分厚いコーラスや途中のギター・ソロといったハード・ロックの王道的な展開が驚くほどハマっていて、元々こういう楽曲だったと錯覚するほど!? こちらは10月15日にリリース予定の彼女たちの新作カヴァー集『Reanimate 2.0: the Covers EP』に収録される。
最後は日本から、タワーレコード企画のアーティスト発掘オーディション〈Knockin'on TOWER's Door〉の第1回でファイナリストに選ばれた経歴を持つ4人組バンド、ill hiss clover(アイル・ヒス・クローヴァー)のカヴァーを紹介。こちらはファンへの感謝の気持ちを込めたカヴァー企画として発表されたもので、エレクトロのエッセンスも感じさせるファンキーなバンド・アレンジとなっている。
このほかにもフォール・アウト・ボーイ、フローレンス・ウェルチ、ウィルコといったアーティストが自身のライヴで“Get Lucky”を演奏。さらにネット上には、プロ、アマチュアを問わずさまざまな“Get Lucky”のカヴァー動画や音源が存在している。ぜひ自分好みの“Get Lucky”を探してみよう。