今回はタワレコ店頭キャンペーンの〈ニッポンのNEW WAVE POP特集〉に沿ってディスクガイドをピックアップしていますが、もちろんニューウェイヴなんてデカい括りだけに対象タイトル以外にも現在入手が容易になっている30年前の近未来は山ほどあります。今様のテクノ・ポップ好きにもまずチェックしてほしいのは、中学生版YMOと呼ばれたコスミック・インベンション。いろいろ編集盤などにも入っていますが、デビュー30年を記念して編まれた『コンプリート・ベスト』もぜひこの機会にどうぞ。また、パール兄弟のところでも少し名前の出てくるフィルムスは、存在しない未来に思いを馳せることのできるグラム・ロボット・ロック歌謡で、『ミスプリント』はポスト・パンクの名盤として聴かれるべき一撃だと思います。
さらに今回ついに復刻されたのが、文字通りの〈未来の音楽〉。85年のつくば科学万博で使われた音源を編纂した『つくば科学万博音楽集 〜EXPO '85 Sound Track〜』です。作曲者であるTPOの安西史孝自身がリマスタリングを行ったそうで、これは先だってリイシューされているTPOのアルバム『TPO1』も併せて必聴。昔の未来って、本当に未来的ですよ! あと、30周年記念盤も出した野宮真貴もどうぞ。まさにその30年前の姿を確認できる東京アングラ歌謡の名盤『ピンクの心』、その後結成したポータブル・ロックのアルバム……ナンボでもありますよ!
▼関連盤を紹介。
左から、コスミック・インベンションのベスト盤『コンプリート・ベスト』(ビクター)、フィルムスの80年作『ミスプリント』(コロムビア/Solid)、85年の万博で使われた音源の編集盤『つくば科学万博音楽集 〜EXPO '85 Sound Track〜』(ブリッジ)。右上から、TPOの83年作『TPO1 -25th Anniversary Edition』(ソニー/ブリッジ)、野宮真貴の82年作『ピンクの心+2』(ビクター)、ポータブル・ロックの83年作『ビギニングス+5』(Solid)