INTERVIEW(2)――セッション相手の基準は〈その人の魂〉
セッション相手の基準はその人の〈魂〉
──今回、セッション相手のセレクトはどのように?
「音楽としてというより、Rie fuの人柄であるとか、空気感が伝わるアルバムになったらいいなあっていうのがいちばんの願いだったので、セッション相手の選び方も、歌が上手いとか楽器 が上手いとかそういうことはあたりまえとして、それ以上に相手の人柄だったり、その人から出ている空気感とか、究極に言えばその人の〈魂〉みたいな部分で 選んでますね」
──そういう意味では、1曲目“Stay with me ~恋愛なんてヒマつぶし”でフィーチャーされたリリー・フランキー(TOKYO MOOD PUNKS)さん、BOSE(スチャダラパー)さんからしてまさに!ですね。
「そうですね。リリーさんとは、私がロンドン留学をしていた時に、アビー・ロード・スタジオで初めてお会いして。私のデビュー当時のプロデューサーが 共通の知り合いで、その方が繋げてくれたんですね。その時、リリーさんのレコーディングにコーラスで参加させてもらって。それがすごく素敵な思い出として あったので、その縁で、今回参加していただければいいなあと」
──リリーさん、いまさらながらすごくいい声ですよねえ。
「そうですねえ、少年のような、でも哀愁漂うというか、大人の渋さもありつつ。で、この曲の歌詞なんですけど、恋愛は〈ヒマつぶし〉とか〈ただ自分 を満足させるためにある〉とか、自分が男だったら、リリーさんだったらどういう詞を書くんだろうな?っていう気持ちで書いてたりもするんですよね。実は、 それまでリリーさんの本とかを読んだことはなくって、歌詞を書いた後でいろいろ読んでみたら、すごく同じようなフレーズがいっぱいでてきて、発想の部分で リリーさんと繋がってるところがあったなあと感心しました」
──〈ヒマつぶし〉とか〈ただ自分を満足させるためにある〉とか、恋愛に対してヒネくれた見方をしているようにも思えますけど、実はすごく素直なことを歌ってますよね。
「本当に伝えたいのは〈Stay with me〉っていうシンプルなフレーズなので、ヒネくれたことを書くことによって、そこがより強調されるなあと思って。でも、あえてヒネくれて書いているわけ ではなくって、恋愛っていう言葉に置き換えられているだけで、それが〈独占欲〉とか〈ヒマつぶし〉とか、それそのものの真相というか、〈本当はこうなん じゃないかな?〉っていうことをいろいろと浮かび上がらせたい、本質を見い出したいっていう気持ちで書いてるんですけどね。いままではそういった部分をあ からさまに歌詞にしてなかったんですけど、今後はこういう歌詞をいっぱい書きたいなっていう気持ちにもなってきたし、リリーさんもBOSEさんもそういう 創作スタイルだと思うんですよね」
──BOSEさんとの縁は?
「ずっとファンだったんですけど、お会いしたことはなくって。で、今回お願いするにあたって、電話で5分ぐらい、〈こういう曲で〉っていう説明をしただけでこんな素晴らしいリリックが出来上がってきたんです。本当に考え方が繋がったなあという感じですね」
──今回は、初めてセッションするミュージシャンばかり、ということになりますか?
「レコーディングするという意味では、そうですね。LEO今井さんとNAOTO(ORANGE RANGE)さん以外はそうです。LEOさんとは、彼のアルバムに入ってる“Synchronize”という曲でごいっしょしたんですけど、その曲の テーマと今回の“Just Like You”がぴったりだったので声をかけてみたんです。〈君と僕はまったくJust Like You=いっしょだけど、キミみたいな人には会ったことがない〉っていう、ちょっと矛盾してるけど紙一重のような、まさに私がLEOさんに対しても思って いるような、そういう気持ちを表現した歌なんですね、“Just Like You”は」