INTERVIEW(3)――まさか感謝すると思ってなかった
まさか感謝すると思ってなかった
――歌は本作の重要なポイントですよね。何より歌詞が変わりましたし。
向「やっぱり歌詞はだいぶ変わりましたよね。でも意識した歌詞ではなくて、自然に出てきた歌詞だったから良かったなと思って。前(の作品で歌詞にしたこと)は全部終わったんだって思ったんですよ。ファーストはファーストで全部あの時に出した、セカンドでも〈あ、全部水に流したんだな〉って。じゃあ次何書こうってなると思うんですけど、そうしたら今回の歌詞が自然に書けちゃったんですね。変わったのは自分でももちろんわかるんですけど、意識したところがなかったっていう」
――これまでにはなかった過去を振り返るような側面があると思うんです。やっぱり再結成とか昔からの友人の再加入とかが影響してるのかなって。
向「それはでもね、実はそんなに影響されてないと思うんですよね。もっとそれ以前の感じだったと思います。例えば自分の家族だったり……いま、やっとわかったっていうことが多かったんで……わかります? わかんないですよね(笑)」
――(笑)言葉にするのは難しいですよね。それこそ音楽が語ってるわけだし。でもそれを何とか言葉にしていただけると嬉しいです。
向「はい、なんだろう……まさか感謝するとは思ってなかったんですよ、音楽やってて。もちろんお客さんの声とか嬉しいですけど、自分の普段の生活の周りの方々に対して。これまでは全部自分でやってるような感じがしてたし、親にも感謝しますけど、心から感謝したことは一度もなかったと思うし。彼女に対して、あんだけサポートしてくれてたんだなっていま気付いてみたり、友達とか〈そういえば毎回来てくれてんなあ、こいつ〉とか、〈相当感謝しなきゃいけないよなあ〉とか。そういうトコに気付いたんじゃないですかね」
織田「セカンドからサードまでにいろんな出会いがあって、生活環境もそれぞれ変わってきたりとか、そのなかで感じたことが、音や言葉になって出てきてるんじゃないかっていうのはあるんですよね」
――そう思うようになった背景のなかでいちばん大きいものは何なのでしょう?
向「俺はやっぱり『LUGER SEAGULL』以降ですね。あれで全部出しちゃったから」
――そこで一回空になったからこそ、今回の作品がある?
向「だと思うんですよね、おそらく。それで賢三が入ってきて、〈おっしゃ、イチから仕切り直すか〉って感じだったから。ある意味で、まっさらな感じでバンドを再スタートさせたような」
――まさにタイトルの『Happy Rebirthday To You』どおり。
向「うん、いま俺が言ったことだと思います。このタイトルがついたのは」
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