INTERVIEW(3)――どの現場もおもしろい
どの現場もおもしろい
――そうやってそれぞれが乖離している状況が却っておもしろい、と。
「乖離していると思えば乖離しているけど、でも、僕はどの現場もおもしろいって思える。こういう雑誌だと思えばおもしろいわけで(笑)」
――この状況をメディア的に捉えていると。ある種、批評的な視座で見ているということですか。
「うん。まあ、だから、年齢、スタイル、デビューしてようがしてまいが……すべて関係ないところでいろんな人とやってみたかった」
――そういう意識って、スーパーカー時代から交流のある宇川直宏さんがいまやっているDOMMUNEの在り方と少し近いような印象もあるけど。
「まあ、宇川さんはメディア・レイピストだから、僕とは少し見方も違うし、こういう話を実際にしたこともないけど、うん、でも、そうですね、近いかもしれない。状況の切り取り方とかね。昔から宇川さんは、ある一つのイメージに限定しない人だから、やっぱり影響されてるし、すごくリスペクトしてるし」
――そうやってクラスタ化している状況を楽しみつつ、結果としてそれを俯瞰して一つの目線で捉えるというような姿勢だよね。
「うん、そうですね。ただ、それをメッセージとして直接伝えるようなことには抵抗があって。だって、せっかくいまはそういう状況になっちゃったんだから(笑)。そこを否定しても仕方ないっていうか。チャンスなんだから。いろんなものが独立していてそれぞれ楽しめるっていうチャンス。自分とは違うところにいろいろおもしろいことがあって、そこにはそこのおもしろさがあるわけで、じゃあ、それを教えてあげることが先かなと。この先にはもっとおもしろいことがあると思っているし」
――結構、いまの状況を楽観的に捉えていると。
「うん。例えば、パンクの人たちとレゲエの人たちが70年代に結び付かなかったら、クラッシュやポップ・グループのようなバンドは出てこなかったわけで。そういう音楽が僕も好きだし、そういう新しい何かが生まれる状況が好きだし、いまもそれに近い感じがするし。だったら、自分もその橋渡し的な役目を果たしたいなという思いはありますね。ま、それ以前に、単純に近くでそのおもしろいものを見たいって気持ちですね」
――大きな波がすぐそこまで来てる。
「うん。それによって全体の質がグッと上がるのを見るのはおもしろいですからね。もちろん、そこに自分も関わっているわけだし」
▼『∀』に登場するアーティストの作品(その2)