INTERVIEW with 石井秀仁(4)――ドラマがメインでいい
ドラマがメインでいい
――そして今回のシングルには討論会も入ってますが、そこには関わってますか?
「まあ関わってるっちゃあ、関わってますね。編集は青さんがやってるけど、声の処理だったりとか――コンプかけたりとかピッチシフトしたりとかね、そういうことはやったりして。それはやる人がいないからやっただけだけなんだけど(笑)」
――以前、青さんが〈討論会を聴いて石井さんが爆笑してたので、すごく自信があるんです〉みたいなことをおっしゃってて、爆笑ポイントってどこだったのかなと思って。
「いや、全部おもしろいですよ。俺、基本的にはああいうの嫌いなんですよ、全然おもしろいと思えなくて。例えばそれが、スネークマンショーとかでも……YMOのアルバムでも1曲1曲入ってきて〈ウザってえ! これ〉みたいに思うんだけど、今回はそう思わなかったですね、全然。cali≠gariの過去の音源にはちょっとああいうのが入ってたりするけど、そういうのほぼ聴いたことがなくて、〈またこういう感じか〉ってポンと飛ばす、みたいな。でも今回はすごいなーと思いましたね、うん」
――これまでと、どこが違いました?
「俺の世界観じゃないからわかんないけど、人に伝わらないことをやってたと思うんですよ、いままでって。なんか、オカマみたいな人が2人で喋ってて、その喋ってるトーンがおもしろいってだけで、内容は俺らが聴いてもわかんないっていうか。青さんとかゲイの世界の人しかわからないこととか、そういうのが入ってたようなことはあったけど、今回はそうじゃないじゃないですか」
――討論自体は真っ当なんですけど、なぜか笑えるっていう。
「声の処理をしたりすると、話してる内容を全部聴くわけじゃじゃいですか。それがおもしろかったってことです。ちょっとおもしろすぎて先に進めません、みたいなところはありましたね。どっちかっていうと俺、あれがメインでいいと思うんですよね」
――聴いた感じ、討論会……といいますか、あのラジオドラマがメインになっちゃってますけどね(笑)。
「そうですよね。あのなかに曲が入ってるわけですもんね」
cali≠gariの黄金バランス
――そして、このインタヴューの掲載日にはニュー・アルバム『11』のリリース日も発表されてますが、曲はだいぶ上がってます?
「まあ全貌は見えてますよ、俺だけね(笑)。そのうえで、これが足りないっていうのもわかってるし。前の『10』のアルバムに足りないのは、単純にパワー感なんですよ。いちばんわかりやすく言ったらですよ?」
――そのパワー感をより推し進めたものとして、『≠』というミニ・アルバムを作ったって以前おっしゃってましたよね。
「はい」
――それ以上のパワーを。
「そこは単純に、ミニ・アルバムとアルバムの違いっていうことですかね……と、思いますよ。あとは、要らない曲は入れないってことですかね」
――いままで入れてたんですか?
「入れてますよ。聴いたらわかるじゃないですか。もう確実に昔のcali≠gariなんて、アルバムのなかに要らない曲が何曲も入ってますよね」
――ああ、復活前の。
「そうそう復活前の……いや、どうだろうな? 復活後も〈こんなの要らねえだろ〉っていうの、入ってんじゃないですかね? まあ、それもありきで全然いいんだけど……〈なんだろう? この曲〉みたいなのあるじゃないですか……ありますよね?」
――えっ(考える)……アルバムの後半あたりに、でしょうか……。
「アルバムの後半あたりに要らない曲が入ってるってことですね(微笑)」
――いやいや、入ってません(苦笑)。
「(笑)でもね、みんな……っていうか、いまは基本的に俺と青さんだけど、曲を作ってると、いま、何が必要で何が要らないかって、大体わかってくるじゃないですか。会話したりすると、そこが意外と一致してて」
――それは曲単位とか、全体の雰囲気とか?
「そうですね。cali≠gariの黄金バランスみたいなものがあったとして、それがいちばん美しく出ればいいなと思いますね。で、まあ、出るんじゃないですかね。いまは俺が作った曲しかほとんどわかんないけど、青さんのやつもね、いくつか上がってるのを聴いて俺が〈うん???〉って思う曲は一個もないから。客がどう捉えるかはわからないですけど、俺はすげえいいと思うんですよね」