RYUKYUDISKO(6)
狂った部分というか、〈自分なりの変わった音〉を大事にしたい
――アルバムを聴いているとRYUKYUDISKOって楽曲を巧みにコントロールできるようになってきているなってのがわかるんですけど、今回の多彩なコラボって、そういう部分をあえて壊す風にも働いているように思えるんですが、いかがでしょう?
哲史「なんか、はじめは楽器もできないし、テクノしか作れなかったわけじゃないですか。それが最近は、メロディーの構築だったりとか、作っているうちにいろいろと身に付いてきたんですよね。それはそれでいいと思うんだけど、それだけじゃダメというのもあるんですよ。狂った部分というか、コード感がわからないような音を生み出した時のほうが、〈自分なりの変わった音〉に聴こえる。そういうところを大事にしたいと思うんですよね。きれいにまとまっている音楽っていくらでもあるけど、そこからはオリジナリティーって生まれない気がするから、コード感や音感がちゃんとわかったうえで、あえてそれを崩してオリジナリティーを出していきたい。そこは大事にしましたね」
HATA「俺ね、整ってるものってあんまり魅力を感じないんですよ。究極の目標ってのがあってさ……」
AO「……マジ? それ、すげー聞きたい(笑)」
――Dachamboのなかでも知られていなかったんですか(笑)!
HATA「俺の目標って、ミロのヴィーナスなんだよね。あれって腕とかちょん切れていて、完全な不完全なんだよね。やっぱり人って、整っているものより不完全なもののほうに惹かれると思う。想像する余地があるというかさ。完全なものっておもしろくないし、〈完璧な不完全さ〉って人がいちばん惹かれるものなんじゃないかなと思う。だからいまの話を聞いてて、同じことを考えているんだなって」
陽介「単純におもしろそうだなってことですよね。壊すのも、いままで経験してないものを作るってことで」
AO「そこに尽きるよね」
HATA「やっぱり人とやるのがいちばんおもしろいし、刺激を受ける。一人でもトラックなりは作れると思うんだけど、人とやって自分にない刺激を受けるのが楽しいから、そっちに向かうよね」
AO「作品なんて壊して作っての繰り返しだから。そこで新しい感覚を知って次に向かえるわけですよ。で、また次に行く時にこういう出会いだったり、お互いが刺激し合える経験があれば、もっと楽しいでしょ?」
――いやぁ、でも、これまでの自分を壊すのってすごく勇気がいることだと思いますよ。
HATA「飽きっぽいからかなぁ?」
AO「飽きっぽいうえに寂しがりだからね」
HATA「寂しがりは関係ないじゃん(笑)!」
陽介「まあ、でも常に〈壊したい願望〉はあるから、周りのお客さんやレーベルがついてこれたらそれがベスト。でも、ガラっと変わっちゃうと、キョトンとされる部分もあるから、そういう意味では守らないといけないところもありますけどね」
哲史「自分が好きな音楽って広がっていくし、そのなかで表現したいものが増えていくわけですよね。でも、別の人間になれるわけじゃないんですよ」
AO「芯の部分はそう簡単に壊れないもんね」
哲史「昔は全部MPCで作ってたんだけど、PCに移行した時にまったく変わるかなって思っていたらそうじゃなかった。表現したいことは変わらないんだなって思った。だからギターを使ってもRYUKYUDISKOのテイストは残るだろうし、それは例えアコギ1本でもRYUKYUDISKOになるんだと思う。まあ、その前にアコギの練習しなくちゃいけないですけどね(笑)」
AO「よし! じゃあ、やっぱり伊豆に行こう! 楽しいから!」
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